2010 年 1 月 21 日

グーグルブック検索和解

こんどは、ちょっとややこしい話題です。

世界最大の検索サービス「グーグル」が、一昨年アメリカの著作者や出版社の団体とある和解を結びました。

同社は、数年前から米国の大学図書館と提携して、その蔵書をスキャニングして巨大なデータベースをつくり、インターネット利用者がその内容を検索できるようにしてきました。現在米国内で流通している本の場合、検索キーワードの周辺3行程度しか表示されませんが、絶版書籍の一部については全文が表示されます。つまり、まるまるインターネットで本を読んでしまうことができるのです。

著作者や出版社の団体からは、このサービスがずっと問題視されてきました。グーグルは、スキャニングは米国著作権における「フェアユース」にあたり、書籍の著作者の著作権は制限されると主張してきました。つまり、公開さえしなければ、文献をスキャニングしてデータベースをつくることは、著作者に断りなく出来るというのです。

著作者や出版社の団体は、これに抗議して裁判を起こし、上記のように和解を結びました。この和解の内容は、グーグルはスキャニングをどんどん進めてもよいが、その代わりに対価を著作者や出版社に支払うというものでした。この和解内容には、著作権管理のための団体をつくるという項目もあって、この団体をグーグルが牛耳ることになれば、グーグルが米国の著作物を支配することになるかもしれないという懸念がありました。

日本の著作者や出版社は対岸の火事・・・と思っていたら、実は米国も日本も加盟しているベルヌ条約によれば、日本の著作者も米国でその著作物の著作権をもっているから、上記の和解に参加するかどうか決めなさいという通告がやってきました。去年の2月のことです。それから、日本の出版社や著作者の団体は、どのように対応するか右往左往してきました。

米国の裁判所に対して、米国の著作者団体やグーグルの競合企業などがこの和解は社会的利益に反すると訴え、日本の著作者団体なども働きかけたことで、10月には和解内容は変更され、日本など非英語圏の著作物については、この和解から除外されることや、グーグルが上記の著作権管理団体を牛耳ることがないように関係者が参加できる枠組みをつくることが合意されることとなりました。

12月18日には、日本ペンクラブと日本出版学会の共催で、上記の問題について、今後日本ペンクラブや出版学会所属の出版社などがどう対応すべきなのか、現状を理解し、その方針を話し合うシンポジウムが開かれました。

私自身は、インターネットにおける著作権のあり方に興味を持つ研究者ですが、この問題をめぐる関係者の言い分や考え、和解内容の解釈の仕方がよくわかり、とてもおもしろいシンポジウムでした。

日本ペンクラブ・出版学会共催シンポジウム:グーグルブック検索訴訟新和解案をめぐって

さて。グーグルブック検索問題に加え、その他国内外のいろいろな動きから見るに、今年は、「電子出版」がキマす!(笑) 大谷記。