農学部 海洋水産生物学科
主なカリキュラム
学科目標
海を知り、海を活かす
海洋水産生物学科では、幅広い教養と倫理観を持ち、現在の1次産業の置かれている立場、役割、重要性について理解します。生命科学の知識を活用し、水生生物の生態や生息環境、資源の動向を知り、食料加工や保存技術、安全性等の知識を修得します。国際感覚を身につけ、世界的活動であるSDGsの重要性を理解します。1次産業の課題及び改善方法について思考力・判断力を身につけます。こうした力を身に付けるためのカリキュラムとして、「専門基礎科目」「水圏生物系科目」「学芸員科目」「食品科学系科目」「地域創成系科目」「応用専門科目」といった分野ごとに、多数の授業科目を準備しています。
海洋水産生物学科の主な授業科目と内容について
「水圏の環境と保全」
海洋環境、特に沿岸域の環境を成立させる自然の仕組みについて、海水の流動や低次生産や有機物の動態等から総合的に研究します。さらに、地域の沿岸域で起きている深刻な環境問題について里海という概念の下、環境を保全・修復するために何をすべきかを調査し、河川やため池などの陸水の環境について理解を深め、水辺の生態系の重要性について研究します。また、水辺ビオトープや多自然川づくりを理解し、地域において、陸水環境の保全を進め、持続的利用をするための研究を行います。
「海川の生物とレジャー」
地域の活性化のために、海や川の環境や特性を活かしたレジャーをビジネスへ結びつける方法について研究します。それを実現するための生態系サービスの重要性や漁村の多面的機能について調査し、水生生物の教育展示、海や川で子どもたちに伝わる伝統的な遊びや新しい視点からの楽しみ方、流木等を利用したアートによるスモールビジネス、また、フィールドの特性を活かしたスポーツの利活用を促進するための研究を行います。
「海洋水産生物ビジネスの技術と倫理」
レジャー、漁業、食品加工など、水圏環境、海洋生物や水産資源を利用するビジネスにおいては、安全性、不当表示、乱獲による生物資源の減少、海洋プラスチックゴミ等の海洋汚染など、1次産業や食品業界を中心として様々な問題がとりざたされており、それらには、生産者、技術者、事業者の倫理的な姿勢が大きく関係しています。この授業では、様々なアクアビジネスにおける技術開発事例から、現場での技術開発の実例を通して、その技術・倫理的問題点やその解決方法、さらに、それぞれのビジネスのシーンでの水圏環境や生物種を保全するために必要な知識を習得することを通して、生産者、技術者、事業者として必要な倫理感を養います。
「水産食品学」
水産食品について、加工原料としての性状、貯蔵方法、各種の加工方法(冷蔵、冷凍、乾燥、くん製、塩蔵、発酵、調味加工)について学び、また、缶詰やレトルト食品、魚肉練り製品については、基本的な製造方法や規格、変敗防止方法などを学習します。さらに加工方法や使用される機器類について学び、また、水産食品に含まれる機能性を理解し、廃棄物の処理や経営についても学び、総合的に理解することで、地域における新しい地域特産物の開発や6次産業化に役立つ知識を身に付けることを目的としています。
「水産物加工学」
「水産加工品の製造と品質に関する知識を深める」をテーマとして、加工工程に含まれる作業のポイントと目的を科学的見地から理解し、加工技術と品質評価の方法を習得します。
「水産増養殖Ⅰ~Ⅲ」
地域において産業的に有望な緑藻のスジアオノリや海藻サラダの原料となる紅藻などの大型海藻類について、陸上養殖技術を開発するため、種苗生産方法、拡大培養方法、新品種の作出などについて研究を行います。漁港を利用した貝類等のコンパクト養殖技術の開発、海藻と三年トラフグやマダイとのアクアポニックス(複合養殖)による海域の水環境保全対策、水生生物の教育的展示や飼育繁殖方法、希少種の保全方策を検討するための調査研究を行います。
実習科目について
「水圏生物学実習」
環境を数値化するための海洋観測、釣獲した魚種の種類検索、プランクトンの採集や種同定、水産動物の発生観察や海藻類の観察、溜池・河川等の生物相調査、関連施設見学を体験することで、水生生物の生物学的な面白さを発見し、海洋や河川環境の特異性を理解する。また、加えて、増養殖の現場に触れることを通して、生物資源と人間の関わり合い方について考察します。まずは、1年次に予定しているこの実習を通して、専門知識を深化させることへの動機付けを行い、その後の学習を加速させることを目的としています。
「水圏フィールド実習」
2年次に予定しているこの実習では、水圏フィールドにおける生物の多様性や生活史を調査するための基礎的な方法を、実際にフィールドにおいて実習し身につけます。また、水生生物の生息状況を現場で観察することを通して、水圏生態系の保全の重要性を理解することを目的としています。養殖や海洋や河川を利用した観光産業に触れることで、それらが地域の生物や環境に立脚して成立していることを考え、海辺や水辺の地域活性化には、水圏の環境や生物の特異性を活かした活動が有効であることを理解する実習です。
「水産食品学実習」
3年次に予定しているこの実習では、水産食品について、加工原料としての性状、貯蔵方法、各種の加工方法(冷蔵、冷凍、乾燥、くん製、塩蔵、発酵、調味加工)について学び、また、缶詰やレトルト食品、魚肉練り製品については、基本的な製造方法や規格、変敗防止方法などを学習します。さらに加工方法や使用される機器類について学び、また、水産食品に含まれる機能性を理解し、廃棄物の処理や経営についても学び、総合的に理解することで、地域における新しい地域特産物の開発や6次産業化に役立つ知識を身に付けることを目的としています。
「博物館実習」
学芸員資格取得に必要な実習で、4年次での実施を予定しています。企画テーマに沿った資料収集や取り扱い、展示・調査等の実務実習を行うとともに、多様な館種見学を行い、実際に博物館において行われている展示方法やレイアウトなどを学びます。また学芸員として必要な専門知識や技術を身につけるため、博物館の現場で実物資料に即した博物館の活動を体験し、その館園で実際に実現可能な活動を自ら企画・立案します。さらに館園実習の事後指導として、実習を体験しての反省や自己評価等をもとに、これまで行ってきた学内実習での企画テーマにおける資料収集や取り扱い、展示・調査についての課題解決に取り組みます。
取得できる資格
- 食品衛生管理者および食品衛生監視員
- 食品衛生管理者は、食品や添加物を製造・加工する施設で、食品の衛生を管理する国家資格です。食品衛生監視員は、食品衛生法などの法令に基づいて食の安全と安心を守る仕事です。食品衛生監視員は、【国家公務員】か【地方公務員】に分けられます。主に国家公務員は空港や港などの検疫所で働くことになります。
- 学芸員
- 水族館や動物園、博物館等において、資料の展示、収集や保管などの業務を行う専門職員で、学芸員資格は文部科学省が認定する国家資格です。
1年 | 2年 | 3年 | 4年 | |
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食品衛生管理者 食品衛生監視員 |
化学 |
分子生物学 生物化学 有機化学 水圏の環境と保全 食品化学 栄養化学 食品加工化学 食品衛生学 微生物学 乳製品加工学 |
食品機能分析化学 醗酵微生物学 食品管理化学 |
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