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【経営社会学科】 「甲冑公務員がゆく ― モノノフの挑戦」 坂出市役所・十河勲さんをゲストにお招きしました【新しい公務員論】
- 経営社会学科
2026年5月25日(月)15:10〜16:40、「新しい公務員論」(担当:大西正泰 准教授)に、坂出市役所(現・坂出市教育委員会文化振興課)勤務の十河勲さんをゲストにお招きし、特別講義「甲冑公務員がゆく ― モノノフの挑戦」を実施しました。
「新しい公務員論」は、まちづくりに関わる多様な実践者をゲストに招き、学生が様々なキャリア形成のあり方を学びながら、次世代の公務員や地域づくりを担う人材を育てることを目的とした授業です。
【公務員の「二足の草鞋」― 甲冑公務員として生きる】
十河さんは坂出市役所の公務員として日々の職務を担いながら、甲冑作成講座の主催や「讃州甲冑隊」の結成・運営など、まちおこし活動を精力的に続けてきた「二足の草鞋」の実践者です。講義の冒頭では、公務員には「公平性」「説明責任」「失敗できない」という3つの制約があり、民間とは異なる大変さがあることを率直に語っていただきました。
甲冑プロジェクトは2018年、「今まで扱ったことのない時代・テーマ」に挑戦したいという思いから、歴史文化講座「甲冑講座 ~作って着よう!よろいかぶと~」としてスタートしました。地元のプラスチック加工業者や裁縫工場と官民連携でキット化を実現し、短時間で甲冑が作れる仕組みを整えました。初回から定員30名が満席となり、参加者は4歳から92歳まで、アメリカからの参加者もあったと言います。
その後、2年目には県内初の戦国イベント「さかいでセンゴク歴史絵巻」を開催。バス会社との協働による「武者バス」企画や、西日本最大級の戦国まつり「大野川合戦まつり」(大分市)への参加など、活動の規模は年々拡大していきました。
【逆境を超えて ― 中止命令とコロナ禍を乗り越えた継続力】
2020年のコロナ禍では、リピーターたちの強い声に背中を押されてリモート講座を実施。教材動画を自作し、県外受講者を増やすことにも成功しました。さらに2021年には甲冑講座中止のアクシデントに見舞われましたが、受講者からの投書をきっかけに活動継続が認められ、翌年度以降はクラウドファンディングを活用しながら「讃州甲冑隊」として自立した運営へと移行しました。
市の管轄を離れることで、活動エリアは香川県内にとどまらず他地域にも広がるというメリットも生まれました。2023年には小学生によるこども甲冑隊が仏生山大名行列に新設され、2024年には大野川合戦まつりの合戦絵巻に参加。2026年には丸亀お城まつりのオープニングアクトを担当するなど、現在も進化を続けています。
「なぜ続けられたのか」と問われた十河さんは、「受講生に必要とされていたから。まだ見ぬ、必要としている人がいるはず」と語り、「どこまでやれるか、見てみたい」という言葉に、その原動力を凝縮させていました。
【公務員という働き方、そして人生100年時代のキャリア論】
講義の後半では、公務員に特有のキャリアサイクルについても言及がありました。3年程度で部署が異動する公務員の世界では、「1年目(半年)で改善すべきところを見つけ、2年目で実行し、3年目にバトンパスの準備をする」という姿勢が重要だと述べ、仕事の外の活動だからこそ「誰にも邪魔されない」空間で本当にやりたいことを追求できるとも話していただきました。
また、甲冑を活かしたまちおこしのモデルを全国に広げたいという展望も語られました。日本全国に戦国武将が存在したにもかかわらず、その歴史資源を活用できていない自治体はまだ多い。地域に眠る歴史の魅力を掘り起こし、「このモデルを輸出したい」という言葉は、学生たちに地域の可能性の大きさを伝えていました。
【学生の感想より】
- 「1年目で問題点を観察・分析し、2年目で実行し、3年目で引き継ぐ準備をする、という言葉に強く共感した。新卒で入社する会社でも大事にしていきたい。」
- 「公務員には公平性・説明責任・失敗できないという3つの制約があることを初めて知った。安定しているだけではなく、大きな責任とプレッシャーがある仕事だと理解できた。」
- 「市長が変わって中止になりそうなときも諦めず活動を続けた判断と継続力がすごいと思った。自分も似たような状況になったときに、すぐ諦めず続けようと思った。」
- 「誰もやっていないことに挑戦することで、自分も周りの人も楽しめるという考え方がとても印象的だった。」
- 「甲冑を実際に着てみる体験は、普段の授業とは違う雰囲気でとても盛り上がった。本物のような完成度の甲冑に驚いた。」
これから、十河さんと共に、大西研究室では、城主三村家の娘として、備中松山城で生まれ育ち、常山城(玉野市)で数々の伝承を残された鶴姫をブランディングするプロジェクトを立ち上げていきます。
こういったプロジェクトと通じ、建学の理念に基づいた、学生一人ひとりの能力を最大限に引き出し、社会に有為な人材を育成することを目指しています。今後も地域とともに学び、地域に貢献する実践的教育を通じて、学生が社会で力強く活躍できる教育環境づくりに取り組んでまいります。




