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【経営社会学科】 「食べることは生きること」 アリス・ウォータースのドキュメンタリーを鑑賞し、食と地域・人とのつながりを考えました【授業「新しい公務員論」】

New 2026年6月30日
  • 経営社会学科

吉備国際大学では、建学の理念に基づき、学生一人ひとりの能力を最大限に引き出し、社会に有為な人材を育成することを目指しています。経営社会学科では、教室での学びと地域の現場での実践を往還する「越境学習」を大切にしながら、身近なテーマを入口に社会や地域を考える授業を展開しています。

今回の授業では、まちづくりの先進地域として有名な海士町にある出版会社「海士の風」社が作成した、アメリカの料理人アリス・ウォータースの活動を追ったドキュメンタリー映画『食べることは生きること』を鑑賞しました。地元産の新鮮な食材や有機農業を大切にし、学校菜園(エディブル・スクールヤード)を通して子どもたちに命や自然のつながりを伝えてきた彼女の実践は、スローフードという一つの思想として世界へ広がっています。鑑賞後、授業に参加した33名が、食をめぐる多様な気づきを話し合いました。

|食は、人と地域をつなぐ ― 全体をふりかえって

最も多くの学生が書いたのは、「食べることは、ただお腹を満たすだけではない」という気づきでした。一つの料理の背後には食材を育てる生産者の時間と思いがあり、食は健康・教育・環境・地域、そして人とのつながりと深く結びついている――映画を通して、その当たり前のようでいて見落としがちな事実に、多くの学生が改めて目を向けました。また、レストラン「シェ・パニース」と契約農家の関係を構造として読み解く感想が目立ちました。「つくる場所」と「食べる場所」が近いことが信頼関係を生み、生産者と料理人を対等にし、地域にも利益を循環させていく――観察から自分なりの仮説を立てる学術的な姿勢が表れていました。

留学生からは、自国の食文化と日本を往復して考える感想が多く寄せられました。ネパールのファーマーズマーケットを思い出した学生、食と宗教の深い結びつきに触れた学生など、映画を「自分の経験」と結びつける力が随所に見られました。日本で当たり前とされる「食育」の価値を海外の視点から見つめ直す日本人学生の感想もあり、互いの視点が補い合う豊かな時間となりました。

|学生の声

「今日の映画で印象に残ったのは、アリスの農家へのアプローチが上手だと感じたことです。関わった人すべて――学校の子ども、農家、料理人――の感情が動いている様子がよく分かりました。彼女が大事にしているコミュニケーションの輪が広く伝染している。そうやって境界線をなくし、パブリックな空間をつくっていく考え方がよく伝わりました。」

「一番印象に残ったのは、「おいしい料理は特別な技術だけではなく、良い食材から生まれる」という考え方です。普段スーパーで何気なく食べ物を買っていましたが、それがどこで、誰によって作られたのかを考えることはほとんどありませんでした。一つの料理の後ろには多くの人の努力や思いがある。食べることは、人や自然とのつながりを感じる大切な時間なのだと思いました。」

「売れずにいた農家と、シェ・パニースに食材を送る農家。この二つの違いは、つくる所と食べる所の近さと、そこから生まれる信頼関係だと考えました。コミュニケーションをとることで自分が育てた農産物の良さを伝えられ、理解も生まれ、双方に信頼が築かれていく。農家を上手くやっていくために大切なことを学びました。」

「他の地域を羨んで真似ることも悪くはないけれど、まず自分たちのものや人の良さを大切にし、自分たちでつながりを広げることがどれだけ大切かに気づけました。映画に出てきた旅館は厨房までオープンになっていて、開放的な場所だからこそ会話が生まれる。そんな少しの工夫が、人とのつながりや地域の自然とのつながりを生んでいくのだと感じました。」

「アリス・ウォータースの「Beauty is the language of care(美しさは思いやりの言葉)」という言葉が心に残りました。相手を思いやる気持ちは、料理だけでなく、普段の生活や仕事にも大切だと感じます。映画を見て、自分の国のファーマーズマーケットも思い出しました。日本との共通点を感じ、これからも食文化を比べながら学びを深めたいです。」

|小さな習慣から、社会は変わる ― 次の学びへ

感想の後半では、映画の中の「習慣を変えれば、世の中を変えられる」という言葉を引きながら、日々の小さな選択を見つめ直す声が数多く寄せられました。地元の食材を選ぶこと、食品ロスを減らすこと、生産者へ感謝すること――一人ひとりの小さな実践の積み重ねが、健康だけでなく地域や環境にも良い影響を与えていく。そうした行動への意志が、多くの感想に表れていました。

「地産地消の活動をこれからも続けたい」「農家と消費者を直接つなぐ仕組みをつくりたい」「日本と自国の食文化を比較して調べたい」――映画の鑑賞が、それぞれの次の学びや実践へと静かに接続していきます。食という最も身近なテーマを入口に、地域マネジメントや社会課題を考える視点が、学生たちの中に確かに育ちはじめています。

本学では今後も、地域とともに学び、地域に貢献する実践的教育を通じて、学生が社会で力強く活躍できる教育環境づくりに取り組んでまいります。