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【経営社会学科】トークイベント「Youはどうして高梁に? ― 神山まるごと高専から(高梁)吉備国際大学に ―」を栄町商店街で開催しました

New 2026年7月6日
  • 経営社会学科

吉備国際大学経営社会学科では、キャンパスの外に出て地域の皆さまと直接語り合う、まちに開かれた学びの場づくりを進めています。2026年7月1日(水)、高梁市栄町商店街のアーケード内にある「ニューエスカ」(高梁市栄町1904)にて、経営社会学科の佐野淳也教授によるトークイベント「Youはどうして高梁に? ― 神山まるごと高専から(高梁)吉備国際大学に ―」を開催しました。進行役は経営社会学科3年の西尾友伸さんが務め、市内外の小・中・高校の教員、行政や地域づくり団体の関係者、本学の教職員・学生など約20名の方にご参加いただきました。参加費は無料で、終了後には懇親会も行われました。

|神山から高梁へ ― これまでの歩みと移住の経緯

佐野教授は徳島市出身。1995年の阪神・淡路大震災でのボランティア活動を社会人としての原点に、インドのNGOでのインターン、国際協力機関での勤務を経て、東京学芸大学、立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科、徳島大学地域創生センター、同志社大学政策学部などで、まちづくり・ファシリテーション・ソーシャルビジネスといった学際分野の教育研究に携わってきました。東日本大震災後の福島での対話の場づくりの支援にも取り組んでいます。

2023年には、徳島県神山町に約20年ぶりの新設高専として開校した「神山まるごと高専」に准教授として着任。「ものをつくる力で、ことを起こす人」を育てる同校で、社会共生と地域共創を学ぶ「ネイバーフッド概論/演習」や、生徒の主体性を重んじる「マイプロジェクト」の実践に3年間携わり、町ぐるみの学校づくりを経験しました。任期終了後、2026年4月に経営社会学科に着任。「未来をつくる人がそだつ場づくり」を自身のミッションとする佐野教授は、教育を軸にまちづくりを進める高梁というまちに大きな魅力を感じたと語りました。

|「発酵」するまちづくり ― 神山の生態系モデルから

佐野教授の博士論文のテーマは、「創造的人口減少を可能にするまちづくり生態系」。神山町・海士町(島根県)・女川町(宮城県)の事例をもとに、セクターを越えた協働ネットワークが生態系のように新陳代謝を繰り返しながら地域を持続させていくメカニズムを研究してきました。トークでは、成果をあらかじめ決めず、時間をかけて関係性を醸成し、予期せぬ成果を生み出していく「発酵」のメタファーで神山のまちづくりを解説。行政主導の目標設定型とは異なる、民間主導の「土壌づくり」の重要性が語られました。

また、AIの進化を背景にした社会の分かれ目として、少数のエリートが社会を動かす「テックライト」と、テクノロジーを活用して多様な人々の声が共存・共創する「プルーラリティ(多元性)」を対比し、多様性が共存する社会を目指すことの大切さも強調されました。

|「多文化共創」のまち・高梁の可能性

トークの中心テーマは、高梁というまちの持つ可能性です。高梁市の在留外国人は968人(2026年5月末現在)。人口比3.9%は岡山県内の市町村で第1位であり、国籍別ではインドネシア、ベトナム、中国が上位を占めます。本学にもネパール、スリランカ、中国、インドネシアなど多くの国からの留学生が学んでおり、高梁はすでに「多文化のまち」になりつつあります。一方で、外国人住民と地域住民の交流はまだ少ない「棲み分け」の状態にあることや、多くの留学生が学業とアルバイトを両立させながら地域の労働力を支えている現実にも触れ、外国人住民を支援の対象としてだけ見るのではなく、共に新しい価値やまちを創り出すパートナーとして捉える「多文化共創」への移行を提唱しました。

さらに、能力主義(メリトクラシー)が格差の固定化を生み、教育で力をつけた人材ほど都市部へ流出してしまう構造にも言及。だからこそ高梁は「つまずいても人生をやり直せるまち」という異なる価値軸を示せるのではないか、という問題提起に、会場から大きくうなずく姿が見られました。

吉備国際大学での教育実践 ― 学生とまちをつなぐ

本学での授業についても紹介がありました。「地域づくり論」では、高梁の魅力や課題を調べて政策提言・イベント企画・動画制作につなげる「高梁まちづくり共創プロジェクト」を展開中で、市役所職員や観光協会、地域おこし協力隊、ニューエスカの運営者など地域のゲストが数多く登壇しています。「地域分析入門」では高梁市の多文化共生の現状を分析し、市役所の多文化共生担当職員へ政策提言を行う予定です。7月19日(日)午後には、学生が企画する「まちのいいとこ探し」イベントがニューエスカで開催される予定です。「ないものねだりから、あるものさがしへ」「まちの消費者から、まちの生産者になる」というキーコンセプトのもと、学生が地域の当事者として学ぶ仕掛けが語られました。

これから高梁でやってみたいこと

今後の展望としては、2050年の将来世代の視点から現在を考える「フューチャーデザイン」の授業への導入、高校・行政・大学の授業を重ね合わせて一つの場から多重の効果を生む連携設計、各国の文化を紹介する「◯◯ナイト」(例:ネパールナイト)など、対話と共創の場づくりのアイデアが次々と示されました。離島から最先端の地域づくりを発信してきた島根県海士町の「持続可能社会へのタグボート」という言葉になぞらえ、「高梁を、せかいの『たかはし』へ」という未来像が提示されました。

質疑応答 ― 教育・行政・地域づくり、それぞれの立場から

事前アンケートや会場からは、「高梁市をどのように知り、なぜ吉備国際大学に来る決断をしたのか」「自分の専門性を生かして地域で活動を始めるには、まず何をすべきか」「コミュニティ・スクールで地域を上手に巻き込むには」など、それぞれの立場からの質問が寄せられました。佐野教授は、地域活動の第一歩として「地域のイベントなどで、自分が何者で何ができるかを話し、仲間を募ること」を挙げたほか、学生が地域と関わる心理的なハードルを下げ、経験を通じて急成長する瞬間を支えながら、地域と大学が越境的に学び合う「高梁モデル」を確立したいという目標を語り、予定時間いっぱいまで対話が続きました。

|学生が進行役として活躍

進行役を務めた西尾友伸さん(経営社会学科3年)は、聞き手として佐野教授の話を引き出しながら会場の反応を見て話題を展開し、参加者と登壇者をつなぐ役割を果たしました。地域の方々を前に学生が場をつくる経験そのものが、経営社会学科が大切にする実践型の学びの一場面となりました。

|おわりに

終了後には、参加者と学生・教員との間で自然な交流が生まれ、「またこうした場を開いてほしい」という声もいただきました。経営社会学科では今後も、まちなかを舞台に地域の皆さまと学び合う機会をつくって参ります。