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【経営社会学科】【高大連携】【地域連携】高校生が「本物の会社」を経営する ―高梁城南高校「JONANホールディングス株式会社」の生徒が「地域分析入門」で講演―

New 2026年8月17日
  • 経営社会学科

2026年7月9日(水)、吉備国際大学 社会科学部 経営社会学科の科目「地域分析入門」(担当:佐野 淳也 教授)において、岡山県立高梁城南高等学校の北條 大直先生と生徒のみなさんをゲストとしてお招きしました。

高梁市の「教育魅力化」――危機から始まった共創

授業ではまず、ゲストの背景にある高梁市の取り組みを確認しました。2020年当時、高梁市は「県立高校が統廃合の崖っぷちにある」「地域連携が形骸化し、小・中・高・大の縦の連携も不十分」「古いイメージが生徒の市外流出を助長している」という三つの課題を抱えていました。そこで、学校と地域をつなぎ、対話の場をつくり、行政や企業を巻き込む――「つなぐ・引き出す・動かす」の三つの機能を担うコーディネーターを配置。高梁城南高校の進学希望者数はV字回復し、2025年度には過去最高の126名となりました。

全国初、高校生が経営する「本物の会社」

高梁城南高校が取り組む「JONANホールディングス株式会社」は、商業科をもたない公立専門高校としては全国初となる株式会社設立の試みです。地域の大人や卒業生が出資し(資本金10万円)、実際に法人登記を行った「本物の会社」。運営は高校生に委ねられ、電気科・デザイン科・環境科学科それぞれの専門性を生かして、生徒がCEO・COOを務める「カンパニー制」で事業を進めています。得られた収益は次の教育活動へと還元され、「循環と自走」の仕組みが設計されていることも特徴です。本授業では5月にも、同社の立役者である高梁市教育魅力化コーディネーターの横山 弘毅氏をゲスト講師としてお招きしていました。

今回は、電気科2年生の小原大輝さんをはじめ3名の生徒のみなさんから、実際の会社経営の内容と、そこから得た学びや成長について語っていただきました。地元企業の商品パッケージデザインをコンペ形式で手がけた事例や、高梁市図書館と協働したマルシェの企画・運営など、具体的な事業実績を映像も交えて紹介。「失敗しても大丈夫」という雰囲気がまちの中にあり、地域の人たちが全力で支えてくれること。社会に出る前に数多くの貴重な経験ができ、非認知能力が高まっていったこと。等身大の言葉で語られる高校生の経験は、受講する大学生たちにとって大きな刺激となりました。

ワールドカフェ「自分ならどんな商品を開発する?」

高校生のトークの後には、受講学生全体でワールドカフェ(グループワーク)を実施しました。メンバーを入れ替えながら対話を重ね、次々とアイデアが生まれました。

  • 備中松山城の立体パズル
  • 土に還るエコな素材でつくる鉛筆(使い終わった軸を植えると花やハーブが育つ)
  • 山間地もすいすい歩ける「高梁シューズ」
  • 吹屋のベンガラを使ったスマホケース
  • 留学生とコラボした多文化カレー(その名も「たぶんカレー」)
  • 高梁産のピオーネ・シャインマスカットを使ったジュース
  • まちなかを走るトゥクトゥク

グループワークに加わった城南高校の生徒からも、「ぜひ多文化カレーを実際に開発して文化祭で売りたい」という前向きな声が上がりました。城南高校のみなさんにとっては、大学の授業への参加が今回初めて。しかも講演する側という立場で、緊張しながらも元気いっぱいに語っていただきました。

本学科には多くの留学生が学んでおり、この日の教室もスリランカ、ネパール、ベトナム、カンボジア、中国など多様な出身の学生が机を囲みました。「高梁の特産品と自国の食文化を掛け合わせたい」といった提案も相次ぎ、地域資源と多文化が交わる議論となりました。

「非認知能力」と「成長マインドセット」

授業では、こうした実践が「非認知能力」―やり抜く力、自制心・回復力、協調性・共感、好奇心・主体性―を育てるうえで大きな価値を持つことを解説しました。IQやテストの点数では測れないこれらの力は、生まれつきのものではなく、後から鍛えられるものです。

さらに、「能力は努力で伸ばせる」と捉えるグロースマインドセット(成長マインドセット)を、ノルウェー代表のハーランド選手をめぐる育成理念の転換とあわせて紹介。16歳当時は「シュートが決まらない選手」だった彼の歩みから、才能を早期に見抜くのではなく多くの才能を「残す」環境づくりへ、という視点を共有しました。学生時代に身につけるべきは、知識以上に、一生使えるこのマインドセットです。

受講学生のコメント

▶高校生ながらに会社を経営している立場としてしっかりと意見を持っておられ、「その意見をもとに商品開発ができそうか」と尋ねると自信満々に「できます」とおっしゃる。これまでの活動を通して、失敗を恐れない強さを身に付けてこられたのだと感じました。(2年 藤井 希さん)

▶年齢や立場に関係なく学び合え、挑戦し合えるような環境をつくるために、高梁市や企業、学校が連携して動いている。だからこそ、若い人たちのやる気を引き出すような活動が実現できているのだと分かりました。(2年 藤井 希さん)

▶普段、高校生の方とこのような話をする機会は少なく、実際に話してみて新たな視点をもらうことができました。この視点を活かしながら、最終課題の多文化共生について考えていきたいと思いました。(2年 土橋 里穏さん)

▶ベンガラを使ったスマホケースを提案しました。備中松山城や、人気の猫「さんじゅーろー」、高梁の自然をデザインに取り入れることで、観光客のお土産にも地域PRにもなると考えました。(2年 GIMHANI ILANGAKOON VIDANAGE KAVEESHAさん)

小さなまちだからできる高大連携

人口約2万4千人という小さなまち・高梁だからこそ実現できる、地域の高校と大学のコラボレーション。経営社会学科では、多様な国籍・世代の学生が学ぶ環境を生かしながら、今後も未来をつくるマインドセットを高校生と大学生が共に磨ける学びの機会づくりを進めてまいります。

(※学生・生徒の氏名および写真の掲載については、本人の同意を得ております。)