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【外国学科】公益財団法人大原美術館名誉館長 大原謙一郎先生「生き方」講義「さまざまな生き方」

New 2026年4月22日
  • 外国学科

外国語学部外国学科の授業科目「生き方」にて、公益財団法人大原美術館の名誉館長 大原謙一郎先生による授業が、4月22日に岡山キャンパス(岡山市北区)にて行われました。本年度授業としては第2回目になります。

冒頭、大原先生から、今、世界は危ない方向に動いていると言わざるをえない。世界のリーダーたちは、若者たちの未来を本当に考えているのか、疑問だ。ひとりひとりの市民が目覚めていかないといけない。戦争の現実などは映画の世界とは異なる。学生の時からしっかり現実を学んでおくべし。そして、トクヴィルの『アメリカの民主主義』を読むなりして、民主主義はどのようにして生まれたのかに関し学ぶ必要がある。中央集権が専制主義となりやすいが、地方分権を実践している国はどうなのか、考えてみる必要があろう。教育に関しては、ドイツ、米国、カナダは連邦政府は責任を有しない。州が責任を有する、教育の地方分権化ができている。地方が決めたことが、国を動かすようになってこそ、民主主義が根付いたと言えよう。

日本がヨーロッパに積極的に紹介されたのは、戦国時代であり、日本=武士の国というイメージが強かった。その後、鎖国となり、江戸時代は、武士ではなく商人(あきんど)が日本をつくったと言ってもよい。そのほとんどが地方で生まれている。「一流の国は一流の地方をもつ」と言います。日本も地方がつくってきたものが活かされている。浜松はなぜピアノの世界的産地になったのか。生い立ちがある。

倉敷は江戸時代、天領と呼ぼれ、幕府直轄地であった。大名の支配はなく代官が行政を担っていた。上意下達ではうまくいかず、町衆たちの合意形成がないと物事が進められなかった。自由な雰囲気があった。そのお陰で、明治になると活発に事業が立ち上げられ、大原美術館などの文化施設も整備された。歴史と文化が地場産業を生み出し、発展していった。類似の事例が、京都、長野県の諏訪、静岡県の浜松、佐賀県の久留米でみられる。

大原先生は、人生を振り返るなかで、自分はずっとビジネス・パーソンだったと話されました。人間を理解する「人文知」をしっかりと身につけてもらいたいと学生に呼びかけられた。人文知は「人間についての知恵」で、この人文知が社会を変える力となる。社会を読み解くカギになる。世の中の変化を敏感に感じ取れる人になってもらいたい。

創造力の源泉は、「お上社会」ではなく、「シビル社会」に根付いている。価値を生み出す農漁工・商人が活躍している社会です。日本は残念ながら、その中でも「商人(あきんど)」に対する理解が不足している。「お金=卑しいもの」という観念から抜け出せない。「商人にとって重要なことは暖簾(のれん)の信用」です、と。商人(あきんど)は、物に価値を与え、物を商品として必要とする人に届ける。その活動を円滑に進めるためにお金が介在する。そのお金も現金決済ではなく、手形決済が多く用いられた。だからこそ、暖簾の信用が重要であった。また、商人は「目利き」である必要がある。一目見て物の良し悪しが分からなければ商売にならない。だからこそ、倉敷ほかの諸都市は、文化芸術が発展してきた。商人は美術品などを日頃からみることを通して、目利きの力をつけてきた。商人が文化を創ってきた。だからこそ、文化芸術が花開き、美術館などが造られてきた。ブリジストン美術館、出光美術館、西洋美術館などのルーツは地方にある。地方で創造したものが東京に移った。

若いみなさんは、地方にいるということをチャンスと考えて欲しい。地方から日本を変えていく力となって欲しいと、大原先生は講義を締めくくられました。

講義の後、学生から「一流の国は一流の地方をもつ」ということを教えていただき、感銘を受けましたとのコメントがありました。ある学生からは、「倉敷に住んでいますが、私たちが、一流だった倉敷をどのように変えていくのでしょうか。」質問があり、大原先生から、「若者が変えていくのです。倉敷には守るべきルールがあった。それは、町衆が倉敷を創っていったこと。民間が主導して街づくりをしてきたことです。そして、失敗を恐れないことです。他の地域と異なる倉敷の伝統は、チャレンジして失敗したとしてもそれを許容する素地があるのです。失敗しても再起したビジネスは多いです。」と回答がありました。

外国語学部外国学科では、「先達に学ぶ、人生のより良い『生き方』」をテーマとし、これまで日本を創ってきた人々、豊かで平和な社会を築いてきた人々の<生>の声を聞き、学生一人ひとりが、この国や社会のためにできることは何か、また自らが幸福な人生を送るために何をすればよいのか…等、それぞれが自分のあるべき将来について考える。そうすることで、今の自分を見つめ直すことができるようになる。また、自分の<志>を確認できるようになることを目標に、外国学科学生の必修科目として「生き方」を開設しております。