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【経営社会学科】【社会起業論】「困った」を仕事に変える――さくらや創業者・馬場加奈子さんがオンライン講演

――自分の悩みを、地域の悩み、みんなの悩みへ。制服リユースから生まれた社会起業の物語

New 2026年10月27日
  • 経営社会学科

2026年10月23日(金)3限、社会科学部 経営社会学科の授業「社会起業論」に、ゲストとして「さくらや」創業者で株式会社サンクラッド代表取締役の馬場加奈子さんをお招きしました。馬場さんには東京オフィスからオンラインでご講演いただきました。

テーマは、さくらや創業の物語です。3人の子どもに制服を買う大変さという自分の悩み。それが地域のお母さんたちの悩みと重なり、やがてビジネスへと形を変えていく。そのプロセスを、学生たちは画面越しに聞きました。

「制服がきつくなった」――自分の悩みから始まった

さくらやの出発点は、馬場さん自身の悩みでした。3人の子どもを育てるなか、子どもの「制服がきつくなった」という一言。学校の制服は高く、子どもが2人、3人いれば大きな負担になります。

ところが当時、中古の制服を売る店はありませんでした。ネットでも中古の制服は手に入りにくい。それなら自分でつくろう。こうして、使わなくなった制服を引き取り、必要な家庭に安く届ける「さくらや」が生まれました。

はじめは信用もお客さんもありません。馬場さんは1日200枚のチラシを配り、ブログで発信を続けました。1か月後、ようやく制服を必要とするお客さんが来てくれました。店はやがて、子育て中のお母さんたちが悩みを相談できる場所になっていきました。

みんなの悩みを、仕事に変える

馬場さんの話の核心は「制服を売ることが目的ではない」という点にあります。制服をきっかけに、地域の仕組みをつくる。その考え方が、事業を広げてきました。

  • 地域に仕事を生む:制服の回収やクリーニングの仕事に、子育て中のお母さん、高齢者、障がいのある人、外国人などが関わる
  • 孤独を減らす:子育て中のお母さんが集い、相談できる場所になる
  • 暮らしを支える:食品や日用品を必要な家庭に届ける活動、子ども食堂などにもつながる
  • 環境を守る:まだ使える制服をもう一度使い、ごみを減らす

自分の悩みが、地域の奥さんたちの悩みと重なり、みんなの悩みになる。それを一つずつ仕事に昇華してきたのが、さくらやの歩みです。

若い世代と一緒に、次の仕組みをつくる

講演の終盤、馬場さんは若い人たちとの関わり方を語りました。社長でありながら、スキマバイトで学生と同じ立場で働き、若者の考え方を直接聞く。そこで出会った人を、自分の会社に誘うこともあるそうです。

いま馬場さんは、東京オフィスで大学生スタッフと一緒にアプリ開発にも取り組んでいます。制服のリユースを、もっと多くの家庭に届けるための新しい挑戦です。

講演の最後には、東京オフィスでスタッフとして働く中央大学の学生さんも画面に加わり、受講生との対話の時間をとっていただきました。同世代の学生が社会起業の現場で、事業づくりの当事者として働いている。その姿は、受講生にとって大きな刺激になりました。

学生の感想:「ビジネスは、人の話を聞くことから始まる」

受講生の感想には、ビジネスの見方が変わったという声が多く寄せられました。自分の将来と重ねて考えた学生も少なくありません。

  • 「制服なんてメルカリで買えばいいと思っていました。でも、ネットでは中古の制服がほとんど売られていないと知りました。1日200枚のチラシを配り続けた話には、本当に驚きました」(3年)
  • 「社長なのに、学生と同じ立場で働いて若者の考えを聞く。その姿がとても新鮮でした。自分も将来、こんな大人になりたいと思いました」(3年)
  • 「ビジネスは商品を売ることではなく、人の話を聞き、信頼関係を築くことから始まると学びました。将来メイクのビジネスを始めるときも、お客様一人ひとりの悩みに耳を傾けたいです」(3年・留学生)
  • 「ネパールにも、制服や服を買うのが難しい家庭がたくさんあります。将来はネパールで、いらなくなった制服を必要な子どもたちに届ける仕事を始めたいです」(4年・留学生)
  • 「AIで人の仕事を減らすのではなく、できる仕事を増やそうとする考え方に興味を持ちました」(3年・留学生)

話を聞いて終わりにせず、自分のアイデアに広げた学生もいました。ある4年生は「使い終わったスケッチブックを譲り合うプロジェクト」を考案。紙の廃棄を減らし、画材を買えない人を助ける仕組みです。

「実践の中での学び」を、続ける

経営社会学科は、教科書の外にある「現場の知恵」に学ぶことを大切にしています。社会起業論では、実際に事業を起こし、地域の課題に向き合ってきた方をゲストに招いています。

身近な困りごとに気づき、人の話を聞き、行動し続ける。馬場さんの物語は、社会起業の原点を学生たちに伝えてくれました。今回の気づきを、学生それぞれの次のアクションにつなげていきます。

経営社会学科では、こうした「実践を通じた、一人ひとりの成長」を見守り、支援していく学びの場づくりを、今後も進めていきます。

最後に、ご多忙のなか東京オフィスからご講演くださった馬場加奈子さん、対話に加わってくださったスタッフの皆さんに、心より感謝申し上げます。