―基礎演習IIで5人の学生が1年生に語った「この夏」と「就活のリアル」
キビコクNEWS
【経営社会学科】 海の向こうへ、社会の入り口へ。
- 経営社会学科
2026年10月28日(水)、経営社会学科1年生の授業「基礎演習II」に、5人の学生が登壇しました。
前半は、この夏に海を渡った2人の体験談です。1年生の竹竝瑠菜(たけなみ・るな)さんはアメリカ・ライト州立大学での研修を、2年生の小谷亮太(こだに・りょうた)さんは韓国・ソウルと大邱をめぐった旅を報告しました。
2人はともに、地元・岡山県の出身です。竹竝さんは大学のある高梁市、小谷さんは隣の新見市で生まれ育ちました。地元で育ち、地元の大学で学ぶ2人が、この夏、外の世界へ飛び出しました。
後半は、就職活動を終えた4年生3人です。池宗秀之(いけむね・ひでゆき)さん、ヴー・ティ・ハー(VU THI HA)さん、クー・ソッポア(KEU SOPHORS)さんが、内定までの道のりと、後輩へのメッセージを語りました。
「外へ出る」話と、「社会へ出る」話。一見ばらばらな5つの発表ですが、聞き終えると一本の線でつながっていました。それは「相手を知ることが、自分を知ることになる」という線です。
第1部 この夏、海を渡った2人
■ 竹竝 瑠菜さん 1年・高梁市出身 ライト州立大学(アメリカ)交換留学研修
初対面でも、質問が止まらない国
竹竝さんは、会場の1年生と同じ学年です。入学して最初の夏休みに、海を渡りました。
参加したのは、アメリカ・オハイオ州デイトン市にあるライト州立大学(Wright State University)での研修です。期間は8月19日から9月3日まで。現地のプログラム表には「WSU KAKE KIBI EXCHANGE PROGRAM」の文字が並びます。
デイトンは、飛行機を発明したライト兄弟ゆかりの町です。大学の名前も兄弟に由来します。スライドには、建物の吹き抜けに飾られた複葉機の写真。「飛行機が有名な大学です」という紹介から、発表は始まりました。
続くスライドは「日本との違い」「ごはん」「動物」「景色」。広い芝生に建つ家、品数の多いスーパーの売り場、ボリュームたっぷりのメキシコ料理。芝生にはシカやリス、グラウンドホッグまで顔を出します。地元の球場では、研修メンバーと現地の人たちが球団マスコットを囲んで笑っていました。写真の一枚一枚から、見るものすべてが新鮮だった2週間が伝わってきます。
発表の核心は、最後の2枚にありました。
アメリカと日本のコミュニケーションの違いを実感した。アメリカ人は相手を知ることが大切で、初対面の人に質問をたくさんしていた。
(竹竝さんのスライド「この研修から感じたこと」より)
日本では、初対面の相手にあれこれ聞くのは遠慮しがちです。でも向こうでは、質問は「あなたに興味があります」というサインでした。竹竝さんはそこに、文化の差を見つけました。
アメリカの人は自分のやりたいことに積極的で輝いていた。このことから自分を貫こうと考えた。
(同「この研修から学んだこと」より)
約2週間の研修で持ち帰ったのは、観光の思い出だけではありません。「自分を貫く」という、これからの学生生活の軸でした。1年生でも、外の世界に出ることはできる。同じ学年の竹竝さんの姿は、会場の1年生にとって何よりの刺激になったはずです。
教員からのコメント
竹竝さんは、おとなしいけれど、芯のしっかりした学生です。その芯が、最後の一言「自分を貫こうと考えた」によく表れていました。
高梁で生まれ育った竹竝さんが、1年生の夏に海を渡った。地元出身だからこそ、外の世界を学ぼうとする。その姿勢が素晴らしいと思います。外を知ることで、地元の見え方もきっと変わっていくはずです。
アメリカで見た「質問する文化」は、大学の学びそのものです。わからないことを聞く。相手に興味を持つ。これからの4年間、竹竝さんがどんな問いを立てていくのか。楽しみにしています。
■ 小谷 亮太さん 2年・新見市出身 韓国(ソウル・大邱)旅行
活気と、やさしさが同居する街
小谷さんは夏休みに約1週間、韓国を旅しました。一緒に旅したのは、同じ2年生の千葉太耀さんと地元の友人です。滞在先は、同じく2年生の金相學(キム・サンハク)さんの家でした。
ホテルに泊まって名所を回るのではなく、大学で出会った友人の家に滞在し、暮らすように過ごす旅。学内での出会いが、国境を越えてつながった旅でもあります。
ルートは、広島空港から仁川国際空港へ飛び、ソウルの明洞と聖水を歩き、そこから大邱へ。最後は再び広島に戻りました。
目を引くのは、スライドの完成度です。落ち着いた色調のデザインに、「旅の概要」「街並みと繁華街」「移動と、買い物」「文化・料理」「夜の情景」と章が並びます。まるで旅行雑誌のページをめくるような構成でした。
移動は地下鉄が基本。聖水では街を歩きながら買い物を楽しみました。食のページには、サムギョプサルやチゲ、カンジャンケジャンに加えて、大邱名物の「ムンティギ」(牛の生肉料理)も登場します。滞在先の家でいただいた、韓国の家庭の朝ごはんの写真もありました。
印象的だったのは「夜の情景」の章です。窓から見下ろす夜景、水辺に映る灯り、高層マンションと月、夜のグラウンド、そしてPC房(インターネットカフェ)。有名な観光地だけでなく、そこで暮らす人の日常にもカメラを向けていました。
活気と、やさしさが同居する街でした。
(小谷さんのスライド「まとめ」より)
旅は誰にでもできます。でも、見たものを自分の言葉で編集し、人に伝わる形にするのは別の力です。小谷さんの発表は、旅を「学び」に変える一つの方法を、1年生に見せてくれました。
教員からのコメント
小谷さんの資料は、編集がきちんとなされていました。昼と夜、観光地と日常、食と移動。見たものを章立てして並べ直す力は、レポートや企画書を書く力とまったく同じです。
もう一つ光っていたのは、旅の仕方です。ホテルではなく友人の家に滞在し、暮らす側の目線で街を見た。だからこそ「活気と、やさしさが同居する街」という一言にたどり着けたのだと思います。
新見で育った小谷さん。次はぜひ、その目で新見や高梁の町も切り取ってみてください。見慣れた町が、きっと違って見えるはずです。
第2部 就活を終えた3人から、1年生へ
後半は、早くも内定を手にした4年生3人のバトンです。3人に共通していたのは、「特別なことをした」のではなく、「日々の経験を、自分の言葉で語れるようにした」という点でした。
■ 池宗 秀之さん 4年 岡山市農業協同組合(JA岡山)内定
興味がなくても、まず話を聞いてみる
トップバッターは池宗さんです。就職活動を始めたのは3年生の5月ごろ。早い段階から計画的に動き、複数の内定を得ました。その中で「地元に根ざして貢献したい」という軸を貫き、JA岡山への入組を決めました。
池宗さんは、自分の1年間をスケジュール表にして見せてくれました。
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3年 5〜7月 |
就活サイトで情報収集。SPI対策も少しずつ始める |
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3年 8〜9月 |
オンライン・対面で会社説明会に参加。企業研究 |
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3年 10〜11月 |
面接・試験対策をして、選考に参加 |
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3年 12月 |
内々定 |
▲池宗さんが示した「私の就活スケジュール」(発表スライドより)
1年生にとっては「3年生の春にはもう始まっている」ことが驚きだったかもしれません。逆算すると、1年生の今は、就活の「材料」をためる時期にあたります。
では、何が材料になるのか。池宗さんは「やってよかったこと」として2つを挙げました。
1つ目はアルバイト経験です。違う世代の人たちと接する中で、敬語やマナーといったコミュニケーション力が身につきます。それは面接や履歴書での自己PR、長所のエピソードとしてそのまま使えます。
2つ目は、いろいろな業界の説明会に参加したことです。
興味がなくても実際に話を聞くことで、自分に合う、合わない仕事が分かってくる。複数社の話を聞くことで、自分に合う企業を比較できる。
(池宗さんのスライドより)「好きなこと」は、比べて初めて見えてくる。池宗さんの言葉は、就活だけでなく、これからの授業選びやゼミ選びにも通じるヒントでした。
「好きなこと」は、比べて初めて見えてくる。池宗さんの言葉は、就活だけでなく、これからの授業選びやゼミ選びにも通じるヒントでした。
教員からのコメント
1年生のころの池宗さんは、おとなしいけれど、好奇心いっぱいの学生でした。 4年生になった今、就職活動をくぐり抜けて、すっかり大人の顔つきになっていました。壇上の姿に、この3年間の成長がはっきりと表れていました。 話の中身も具体的でした。いつ、何を、どれだけやったか。だから1年生にもまっすぐ届いたのだと思います。「興味がなくても聞いてみる」は、選択肢を広げるコツです。1年生はぜひ、そのまま真似してください。
■ ヴー・ティ・ハーさん 4年・ベトナム出身 株式会社テクノス 内定
日本とベトナムの「架け橋」になる
続いて登壇したのは、ベトナム出身のハーさんです。テーマは「私が学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)」。株式会社テクノスから内定を得るまでの道のりを語りました。
テクノスはベトナムにも現地法人を持つ会社です。ハーさんの職種は通訳・翻訳。「日本とベトナムの架け橋」となる役割を期待されています。
スライドに挙げた主な仕事は4つです。ベトナム人の方のビザや在留資格に関する書類の準備をサポートすること。日本語とベトナム語の通訳・翻訳。手続きの内容をわかりやすく説明すること。そして、会社とベトナム人の方とのコミュニケーションを支えることです。
日本語とベトナム語の能力を活かして、ベトナム人の方が安心して日本で働き、生活できるようにサポートしたいです。
(ハーさんのスライド「職種と仕事内容」より)
発表では、大学生活で磨いた日本語力や、異なる文化に適応してきた経験を、選考の場でどうアピールしたかを詳しく紹介しました。母国語と日本語の両方を使えることは、それだけで強みです。でもハーさんは、その強みを「会社の役に立つ形」に言い換えて伝えていました。 会場の1年生には、留学生も多くいます。同じように日本で学ぶ先輩の話は、自分の4年後を思い描く手がかりになったはずです。
教員からのコメント
ハーさんは、日本で一生懸命に学び続けてきた学生です。日々の授業にも、就職活動にも、手を抜かずに向き合ってきました。
ハーさんの強みは、日本語とベトナム語の両方を「人の役に立つ形」で使えることです。これから担う「架け橋」の仕事は、ハーさん自身が日本で歩いてきた道そのものです。
同じように日本で学ぶ後輩の留学生にとっても、心強い目標になると思います。
■ クー・ソッポアさん 4年・カンボジア出身 水菱プラスチック株式会社 内定
人と関わる力が、扉を開いた
最後に登壇したのは、カンボジア出身のソッポアさんです。スライドに映し出されたのは、水菱プラスチック株式会社「2027年度入社予定者 内々定式」の写真でした。
ソッポアさんは総合職として採用されます。仕事内容は、総務的な業務に加えて、技能実習生の方々との通訳や、働きやすい職場づくりに貢献することです。
ソッポアさんが強調したのは、学業に加えて、多様な人との出会いや異文化交流に積極的に飛び込んできた経験でした。
多様な価値観に触れ、人と関わる力を磨いたことが内定獲得につながった。
(ソッポアさんの発表より)
外国から来て、日本で学び、日本で働く。その大変さを身をもって知っているからこそ、同じ立場の人たちを支えられる。ソッポアさんの仕事は、自分の経験そのものが価値になる仕事です。笑顔を交えた語り口に、会場の1年生も引き込まれていました。
教員からのコメント
ソッポアさんは、授業だけでなく、学内のさまざまな場面で、教員の仕事を何度も手伝ってくれました。頼まれたことを、相手の立場で考えて動ける。その力が、技能実習生の方々が安心して働ける職場づくりという仕事につながったのだと思います。
日本で暮らす苦労を知る人だからこそ、できる仕事があります。会社にとっても大きな財産になるでしょう。
5人のバトンが、1年生に残したもの
5人の発表から ― 1年生へのヒント
- 初対面の人に、質問してみる(竹竝さん)相手を知ろうとすることが、関係の第一歩
- 見たものを、自分の言葉でまとめる(小谷さん)経験は、編集して初めて「学び」になる
- アルバイトも説明会も、全部が材料になる(池宗さん)興味がなくても、まず話を聞いてみる
- 自分の強みを、相手の役に立つ形で語る(ハーさん)言葉や文化の違いは、そのまま武器になる
- 多様な人との関わりに、飛び込んでみる(ソッポアさん)人と関わる力が、次の扉を開く
高梁で育ち、アメリカで「質問する文化」に出会った竹竝さん。
新見で育ち、友人の家に滞在して韓国の街を切り取った小谷さん。そして、日本で学び、日本の会社で働く道を選んだハーさんとソッポアさん、地元で働く道を選んだ池宗さん。
5人に共通していたのは、知らない世界や知らない相手に向き合い、その経験を自分の言葉で語れるようにしていたことです。竹竝さんが見た「相手を知ろうとする姿勢」は、そのまま企業研究や面接にも通じます。日本人学生が海外で、留学生が日本で。越境の向きは違っても、学びの形は同じでした。 1年生にとって、就職活動はまだ先の話に聞こえるかもしれません。でも先輩たちの話を聞けば、「今日の経験」がすべて未来の材料になることがわかります。
同じ1年生の竹竝さんが示したように、外へ踏み出すのに早すぎることはありません。3年後、この教室で後輩に語るのは、今日話を聞いた1年生たちです。
教員からのコメント 全体を通して
海外に出た2人と、社会に出る3人。並べてみると、話していることは同じでした。「相手を知ろうとすることが、自分を知ることになる」。
1年生のみなさん、先輩たちは最初から特別だったわけではありません。一人ひとり、迷いながらここまで来た学生たちです。今日の5人のように、3年後に自分の言葉で語れる経験を、これから一緒につくっていきましょう。
吉備国際大学では、学生一人ひとりのもつ能力を最大限に引き出し、社会に有為な人材を育成することを教育の基本方針としています。 今回の発表は、海外での学びや就職活動の経験を、学生自身の言葉で下級生へつなぐ機会となりました。日本人学生と留学生がともに学ぶ経営社会学科ならではの、多文化共生と多様性を肌で感じる時間でもありました。 本学は今後も、地域社会や実社会と連動した実践的な教育を通じて、グローバル社会で力強く活躍できる人材の育成に取り組んでまいります。




