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農学部 醸造学科

Department of Brewing

醸造・発酵をはじめとする食品科学全般に関する基本的な知識と技術を身につけます。新たな醸造関連食品を創出できる人材を育成します。日本及び国際社会、特に地域社会に貢献できる人材を育成します。

  • 新たな醸造関連食品を創成できる人材を養成する

未来を拓く先端技術+人類最古の科学技術=醸造学

醸造・発酵とは

果実や穀物などの食品材料を微生物によって発酵させ、さらに熟成させることによって醸造・発酵食品(酒類、チーズ、ヨーグルト、みそ、しょうゆ、納豆、酢など)を造ることです。
また、醸造業とは主に清酒、ワイン、ビールなどを生産する酒造業と、チーズ、ヨーグルト、みそ、しょうゆ、納豆、酢などを生産する製造業に大きく分類することができます。


醸造学科ではこんな人を育てます
  • 醸造・発酵をはじめとする食品科学全般に関する基本的な知識と技術を身につけます。
  • 新たな醸造関連食品を創出できる人材を育成します。
  • 日本及び国際社会、特に地域社会に貢献できる人材を育成します。
醸造学科ではこんなことが学べます
  • 日本及び諸外国において培われてきた多種多様な醸造関連食品について広く学びます。
  • 酒精酵母、乳酸菌、麹カビなどを用いた発酵・醸造に関する知識と技術を身につけます。
  • 実験や実習を通して、新たな醸造関連食品の創作研究食文化への応用を実践する意欲と能力を養います。
卒業後の進路 主に食品関連産業での活躍が期待されます。
【進路の例】
食品製造業(調味料、大豆製品、即席麺、油脂、加工食品)/食品製造工業/機能性食素材製造業(サプリ素材と化粧品素材製造産業)/乳製品加工産業(チーズ、ヨーグルトなど)/食品流通産業/公務員/大学院進学など

醸造学科の特色

農学を醸造分野に開く 醸造学科では、農学部で行ってきた農学に関する教育・研究を基礎として、農産物の有効な活用の一つの分野として醸造を位置づけています。醸造関連食品の原料となる農産物に関する正しい知識をもち、その活用に情熱を注ぐことのできる醸造の専門家を育成します。
食品の化学的理解に基づく食品製造加工の知識と技術 栄養化学、食品機能分析化学、食品加工化学、食品管理化学、分析化学などの授業を通し、食品を科学的に分析し、食品製造加工の知識と技術を正しく理解する力を養います。その上で、食品の製造加工方法の基本論理、問題点、改善点、食品管理に関わる法規等を学び、食品製造加工に関する確かな知識と技術を身につけます。
新たな醸造関連食品の創出(新食品の開発) 醸造に関する知識と技術を身につけ、実習や卒業研究を通して新たな醸造関連食品の創出(新食品の開発)に挑戦します。例えば、南あわじサボテン酒といった酒類。地域の酪農業と連携したヨーグルト、チーズなどの乳製品。新味覚の味噌、醤油、みりん、食酢などの醸造食品。醸造食品素材を利用した和菓子や洋菓子など。
製造と日本食文化の探求 平成25年12月、「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。本学科では、「日本の食文化」の講義、日本料理店における「日本の食文化実習」の授業などを通じ、醸造が日本の食文化に果たしてきた役割などを探求することができます。
醸造学を通して社会に貢献 醸造に関する学内での講義、実験、実習に加え、学外の食品製造業、食品流通産業、日本料理店、ホテル、レストランなどでのインターンシップや実習を経験することで、食品関連産業での活躍や食文化への応用などを通して社会に貢献する意欲と実践力を養います。

授業科目の概要(専門教育科目)

専門基礎科目

醸造学概論

日本は暖流と寒流が交差する海に囲まれ、山が多い。そのため、夏は気温が高く、湿度も高くなる。この自然環境は微生物が繁殖する上で最適である。微生物はものを腐らせる腐敗の原因となるが、逆に利用すれば発酵という好ましい状態とすることができる。発酵を利用して造るものが醸造食品である。そして、日本は、昔から多様な醸造食品があり、現在では医薬品なども発酵で生産するという技術を開発し、醸造大国と言うことができる。本講義では、この醸造大国の技術を、オムニバス方式で行う。

基礎演習Ⅰ

基礎演習Ⅰは、1年次前期に開講する科目である。新入生が、これから4年間、「大学生」として学んでいく上で必要な、最も基本的な能力を育成する。4年後にそれぞれの希望に向かって社会に巣立っていくために経験しなければならない就職活動も視野に入れながら、有意義な知的生活を送るために必要な教養および技能を紹介していく。「大学で学ぶための基礎」をテーマとして、文書作成や図表理解の能力を学び、大学で自ら学ぶための力を身につけることを到達目標とする。

基礎演習Ⅱ

自分自身を理解するために、ワークショップやエクササイズを中心とした演習を行う。その後、さらに自己理解を深め、自己を伸ばすためにはどういう考え方と行動が必要かについて、受講生同士で話し合う。加えて、学問へのアプローチ方法について、教員から指導する。「自己理解と自己実現」をテーマとして、思考力・表現力・検討能力などの向上、文献検索法、レポート作成法などの基礎を学習することで、学問へのアプローチ方法を身につけることを到達目標とする。

基礎演習Ⅲ

専門分野における総合的な課題探究能力・主体的判断能力の育成を目指して、教養教育と専門教育の有機的連携を考察する。教員から与えられる専門情報に関して、受容から獲得へ、学習から研究へと、理解を深め、専門的知識をそれぞれの演習グループの共通認識へと高めていく。「課題探究能力・主体的判断能力の育成」をテーマとして、自主的学習のための基礎知識を身につけ、自らが課題を見つけ出す能力を身につけることを到達目標とする。

基礎演習Ⅳ

資料や文献を検索し、体験と連動させて、情報の専門的解釈および記録の方法を学習する。学習内容を、グループ研究の形で共同研究発表や討議などを通して演習グループの共有財産に高める。知識に対する自己自身の姿勢を社会との関連の中で理解し、将来的自己の専門家としての主体性(モチベーションとアイデンティティ)と活動内容を考察する。「知識に対する自己自身の姿勢を社会との関連の中で理解する」をテーマとして、討論やグループワークを中心とした演習を行い、学科の専門性を理解する能力を身につけることを到達目標とする。

遺伝学

人を含む生物においては、その形態や生理現象のほとんどすべてが遺伝的制御を受けている。このため、「遺伝学」は、バイオサイエンス系の分野を目指す学生のみならず、他のすべての学生も習熟すべき科目である。本講義では、メンデルの遺伝法則、連鎖、遺伝子座間交互作用などのいわゆる古典遺伝学、染色体を研究対象とする細胞遺伝学、DNA、RNA、タンパク質を対象とする分子遺伝学、生物の進化を考える上で必要な集団遺伝学の基礎について平易に解説する。遺伝の理解に不可欠な生物の生殖、特に、体細胞分裂と減数分裂についても解説する。

分子生物学

クローン技術とは?遺伝子組換え作物とは?最近のバイオテクノロジー分野の進歩は目覚ましく、実験室での基礎研究から、各産業分野での製品開発まで幅広く展開されている。農業分野においても、品種改良や選抜育種などに利用され、次世代農業へのアプローチが期待されている。分子生物学とは、生命現象を分子のレベルで説明する学問であり、バイオテクノロジーの大躍進も、分子生物学の成果なしでは起こり得なかった。本講義では、遺伝子とは何か、遺伝子はどのように複製されるのか、遺伝子の情報はどのように伝達されるのか、またその情報から細胞は何を作り出すのか、等の分子生物学の基礎的事項を分かりやすく解説する。

ゲノム情報学

種々の生物のゲノム解読が進むにつれ、従来、応用研究とみられてきた農学や医学、薬学の世界においてもゲノム情報に基礎をおく研究が圧倒的に多くなってきている。本講義では、ゲノム情報を利用する基礎科学および応用研究に関する具体的な事例を紹介しつつ、ゲノム科学の重要性とおもしろさについて講述する。その中で、ゲノム中に莫大な数で存在し、生物の多様性と進化に重要な役割をもつトランスポゾンに関する研究については詳述する。

植物生理学

農学や醸造学を学ぶためには、その基礎学問となる植物生理学についての知識が必要不可欠である。本講義では、分子生物学や生化学の知識に基礎をおいた植物生理学全般について講述する。なかでも、作物栽培における基礎として重要である、光合成と呼吸、植物栄養元素(主に窒素とリン)の吸収と代謝、環境ストレス(高温・低温、乾燥、塩分および酸性土壌)に対する植物の反応、については基礎的内容から応用的内容まで詳しく講義する。

生物の進化と多様性

地球と生命の誕生にいたる化学進化および生物進化のプロセスを理解した上で、細胞の共生により多様な生物種へと進化した道程と多種多様に分化した生物の分類について解説し、あらゆる生命の源をつくる植物の光合成および生体細胞の化学的エネルギー生産の仕組みと各種生体成分の生合成経路の学習を通じて、地球生命共同体としての重要性に対する認識を深める。また食料資源と地球環境保全資源生物について講義し、人は、地球と共存していく上で、植物の持続可能な生育と管理保護を担う使命を帯びていることを論ずる。

農業技術政策論

国民の食料安全保障や国土環境保全などのありように責任を負っている農業政策は、農業技術政策、農業経営政策、農業経済政策などが相互に連携・検証しあって形成された土台の上に構築されている。中でも、農業技術政策は、その成果としての技術革新を通して、農業政策の成果を飛躍的に発展させることができる。本講義では、このように重要な農業技術政策のあり方について、的確な判断と方向付けを考える力を身につけることを目的とする。

現代農業論

経済発展や農産物貿易の自由化に伴い日本農業がどのように変容し、食料自給率が低下してきたかを整理する。次いで、グローバリゼーションの下で進行する農産物貿易の自由化と日本農業の構造改革について考察し、食料安全保障政策や農業の構造改革の内容とその成果について触れる。具体的には、以下のテーマについて講義する。1.第二次世界大戦後の日本の経済発展と農業変容の歴史、2.農業基本法と農業の構造改革、3.高度経済成長と農業の変貌、4.農産物輸入の増加と農業保護政策、5.農産物貿易自由化の進展と日本農業の変容、5.食料危機の可能性と食料安全保障政策、6.食料・農業・農村基本計画の推進と日本農業の変容、7.農業の構造改革、8.農業の六次産業化。

生物化学

生物化学(Biochemistry)は生体分子を取り出し、その構造と機能を調べ、それら生体分子間の相互作用の解析を通して、生命現象を説明しようとする学問である。本講義では、生体を構成する炭水化物、脂質、アミノ酸とタンパク質、核酸とその成分、酵素に焦点を当て、それらの基本的な構造と機能について講義する。このことを通して、生物を構成している生体分子の構造と機能について理解を深め、生体内での役割を総合的に理解することを目標とする。 

有機化学

有機化学における化学結合と構造、化学反応、および立体化学などについて入門的に解説する。講義前半では、基本的な化合物(メタン、シクロヘキサン、エチレン、アセチレン、ベンゼンなど) の化学結合と構造、反応性および立体化学などについて解説し、より複雑な化合物系への応用ができるようにする。講義後半では、分子の世界の中で、生体機能分子を取り上げ、有用天然物の化学、血液型と糖化学、ものの見える仕組み-視覚と分子、味わう、臭う-味覚、嗅覚と分子、サリドマイドの復活、グリーンケミストリー(環境と分子)などについて概説する。

食の安全学

食生活は、一面で人の健康と寿命を支配している。また、食料は生命を維持するものである。したがって、その生産も加工も人の命を護るものでなければならない。食料生産に関わる者が払っている努力、すなわち、生産時に有害物を除く、加工時に有害物が混入するのを防ぐ、などの技術を説明し、食品の安全性を守るための必須事項を論述する。受講者は日常の食の重要性を理解し、将来食の生産管理に関わろうとする者には重い責任があることを理解することが本講義の目標である。

生物学実験

食資源生物の生産維持管理にかかわる植物および微生物についての基礎知識および実験技術を取得するため、主として次の実習を行う。1)顕微鏡の使い方、ミクロメーターの使い方、各種細胞の観察、2)植物の器官、組織および各種細胞の観察、花と葉の構造、3)根と茎の構造 4)細胞小器官(核、葉緑体、ミトコンドリア、液胞、細胞壁などの観察、5)体細胞分裂と染色体分裂の観察、6)バイオテクノロジー技術、DNA型鑑定法、PCR法(ポリメラーゼ連鎖反応法)、7)植物組織培養法、カルスの誘導とプロトプラストの作成、8)微生物学実験-微生物の無菌培養法:各種培地の作成、9)糸状菌の培養(いもち病菌の有性胞子の形成のための対峙培養)、10)糸状菌の観察、分生子および有性胞子、子実体および栄養菌糸体の観察、11)病原性糸状菌の胞子の接種、感染菌糸の侵入と発病過程の観察、ポストハーベスト病の観察、12)酵母-増殖と形態観察、13)土壌および食品中の生菌および大腸菌群の測定、14)分離菌の形態観察-グラム染色法、15)フードスタンプによる食品・環境の簡易細菌検査法など

化学実験

化学物質の扱い方、火器や化学分析機器の安全な扱い方、有害物質の廃棄方法などを詳細に口述し、事故の危険から自分と周囲の人たちを護る方法を説明する。そして、化学実験の手順、分析方法の手順、分析結果の計算方法などを詳細に説明する。実験では、水分含量、脂質含量、タンパク質量、およびミネラルである灰分含量の重量法による定量、そして、炭水化物の発色法での分光学的定量などを行う。また、行った実験の手順と結果をまとめて的確に報告する分析報告書の書き方を説明する。

農業系科目

植物育種学概論

人類が農耕を開始したのは今から15,000年前のことである。人類は、それから1万年以上もかけて脱粒性や休眠性など、野生植物が子孫を残す上では重要であるが、栽培には不都合な性質を取り除き、より生産性が高くより品質のよいものへと改良を重ねてきた。有史以前にはすでに現在の品種の原型が作られたと考えられているが、メンデルの遺伝法則が再発見されて、育種は一気に加速し、最近120年の間にイネ、コムギの単位面積当たり収量は3倍近くにまで跳ね上がった。本講義では、このような人間社会における育種(品種改良)の重要性について画期的成果を踏まえつつ論述するとともに、育種の基礎となる遺伝資源の収集・保存、変異の創成法や選抜法、およびこれらを支える基礎研究について解説する。

栽培学

イネ・ムギ類・マメ類・イモ類等の食用作物、果樹類・野菜類・花卉類等の園芸作物、トウモロコシ・ソルガム類等の飼料作物、ナタネ・テンサイ・サトウキビ等の特用作物の栽培に必要な基本的事項を取り上げて概説する。すなわち、作物種苗の生産・選別・貯蔵・更新、土・水環境と作物の生育、光・ガス環境と作物の生育、温度環境と作物の生育、作物の生育・栄養・被害診断、土壌診断、肥培管理、病気・害虫・雑草に対する作物保護、収穫量予測・被害量解析、収穫・調製、作業体系、作物栽培の総合管理等といった基本的事項のそれぞれについて、作物に共通な技術と固有の技術に分けて概説する。

野菜園芸学

野生植物の中から選抜・改良が重ねられて栽培化された野菜の歴史を振り返りながら、それらの特性について、形態・生理・生態の観点を交えて概説する。また、種々の野菜の特性に基づいた栽培体系、生産および消費動向を踏まえた資源としての基礎理論を講義する。我が国で消費されている野菜は数百種類にも及ぶが、指定野菜や特定野菜を含む代表的なものを選び、ナス科、ユリ科、キク科、アブラナ科、ウリ科、およびバラ科などに体系づけて解説する。

花卉園芸学

花卉園芸の基礎である植物材料(種類、特性)や栽培についての基礎知識(生育環境、繁殖、育苗、管理)および人間活動(産業や利用,文化)を理解するため、花卉園芸に対して自然科学と社会科学の両面から学び、花卉園芸について自ら考え、行動に結びつけるための能力を身につける。具体的には花卉園芸で用いる植物材料とその性質、栽培に必要な物理的環境、化学的環境、生物的環境などについて理解し、社会科学的に人間活動、産業などから花卉園芸をとらえ理解する。また花卉園芸活動の実践を自ら考え判断できるようになることを到達目標とする。

植物病理学

人や動物に病気があるのと同じように、植物にも病気がある。また、植物の病害防除なくして食料生産は成り立たない。本講義では、樹木を含む植物の病気とそれを引き起こす各種の病原体、特に植物病の主たる原因となる糸状菌について学習する。また、植物と病原体の相互関係において見られる特異的な抵抗性や感受性発現機構の遺伝学的、分子生物学的なしくみについて解説する。さらに、植物病害の予防および治病法について概説する。

総合防除管理学

総合防除管理(Integrated Pest Management: IPM)は、「環境低負荷型の防除法を追求するため、病害、虫害、雑草害および鳥獣害に対する防除効果を持つあらゆる方法を駆使して、経済的損失を被らない程度に被害を抑制する」という考え方に基づいている。本講義では、1)耕種的防除法、2)生物的防除法、3)物理的防除法、4)化学的防除法、および、5)抵抗性育種による防除法、などを適材適所に駆使する総合防除管理について、オムニバス方式で講義する。

植物細胞生理学

植物の誕生による地球環境の変化と植物が地球生命体の維持に果たしている役割をはじめに論じ、植物の根、茎、葉、花、果実、種子などの器官と組織の構造と機能について概説して細胞膜と細胞の小器官の構造と機能について解説する。次いで、植物の水、光および土壌の利用および植物の多様な成長様式とそれらに関与する植物ホルモンについて、またでんぷんや脂肪の貯蔵物質の分解とエネルギー生産、薬用成分などの有用二次代謝物質の生産と利用などについて解説する。

施設栽培・植物工場論

養液栽培や養液土耕栽培(コンピュータ制御の自動潅水施肥装置とドリップチューブを使用する作物の栽培方法)などの施設栽培を取り巻く環境、わが国農業における位置づけについて述べるとともに、養液栽培や養液土耕栽培並の理論と実際と応用について解説する。さらに、近年急速に普及しつつある「環境および生育のモニタリングを基礎として、高度な環境制御と生育予測を行うことによる作物の周年・計画生産が可能な栽培施設」を用いた太陽光利用型植物工場、人工光植物工場および人工光・太陽光併用型植物工場について解説する。また、それらを理解するうえで必須な作物栽培生理、植物栄養(肥料)の役割、培養液管理、環境制御技術などの基礎を解説する。さらに、作物の施設栽培に有効な農薬の役割と安全性についても概説する。

応用昆虫学

人間も昆虫も地球生態系を構成する一員として互いに影響しあう関係にあることを理解した上で、農作物生産にかかわる昆虫の存在実態を知り、害虫の制御や有用昆虫の利用について理解を深める。農作物の生産にとって、害虫の制御と益虫の有効利用は重要な課題である。本講義では、1)昆虫の形態と生態の基礎知識、2)食物連鎖を中心とした農生態系の理解、3)害虫による被害実態と防除の必要性、4)種々の害虫防除法と益虫の利用法、5)総合的害虫管理、6)農作物の主要害虫の実例について解説する。

雑草学

我々の生活環境の中、あるいは農業生産の場で触れ合う機会の多いのが雑草であり、人為的な撹乱環境の中での雑草群落の特性と、環境や農業生産に配慮した雑草管理のあり方について講述する。そのために、具体的な雑草を取り上げ、その由来や種類、生理・生態、管理法について、栽培学、応用生態学的な観点から論ずる。一方、水田、畑、樹園地、芝生などの具体的な農業生産現場や緑地を取り上げ、それぞれの場面で雑草が作物にどのような障害を与えているのか、回りの環境にどのような影響を与えているのかについて紹介していく。

農薬学

農薬に関する基礎的知識について解説する。最初に、農薬の定義、歴史・変遷、分類、有効性について述べる。次いで、農薬の開発と安全性について、農薬の研究開発の概要、農薬の登録制度、安全性評価と作物残留に関する基準、および農薬の安全性を解説する。さらに、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺菌剤、除草剤、植物生長調節剤、農薬の代謝・分解、農薬製剤、遺伝子組換え作物と農薬、フェロモン、生物学的防除などについて概説する。

農業気象学

長期的な地球規模の気候変動が生態系や人間社会に重大な影響を与え、また局所的に発生する極端に激しい気象現象が災害を生じさせる頻度も高くなっている。複雑に見える気象環境を自然科学の視点から理解するために、特に前半の授業は、気象学の原理を理解することを中心に進める。合わせて気象現象の農林生態や農業生産に対する影響を考察する課題とその発表も合わせて導入し、このことについて自ら論理的に考え、判断できるようになることを目標とする。

家畜とその飼養管理

畜産業の発展のためには、関係者による家畜飼養の現状の理解と問題点の把握が不可欠である。本講義では、わが国で飼育されている家畜をめぐる情勢とその生産体系について理解することを目標とする。特に、わが国における主要な家畜であるウシ、ブタ、ニワトリを中心として、その歴史的変遷、社会情勢、栄養学的・生理学的特性、フィールドでの飼養管理方法、その生産物について概説する。また、畜産業をめぐる海外の情勢についても解説する。

家畜の育種と繁殖

家畜の育種:家畜動物の育種にかかわる、野生動物の家畜化、家畜化による動物形質の変化、家畜改良の歴史、家畜の種と品種の分類、家畜育種の方法などの理解を目指して解説する。また、現代の育種学を理解するために、遺伝学の基礎と、それを応用した量的遺伝学や動物ゲノムを用いた先端技術についても分かりやすく解説する。 家畜の繁殖:哺乳動物の生殖の基本にかかわる、生殖細胞、卵子や精子の形成と特性、受精の準備と過程、受精卵や胚の特性の基本的な理解を目指して分かりやすく解説する。また、大型家畜を中心とした有用動物の繁殖に利用される基本的な技術や新しい技術について理解させる。

家畜の構造と病気

動物における解剖学、組織学および生理学的知見を基に動物の構造や機能的特徴について概説するとともに、動物の疾病における原因、病気の成立、形態学的変化や機能障害並びに感染症における病原体、発病機構および疫学について概説する。構造については、主に消化器、呼吸器、骨、筋、泌尿生殖器、内分泌系、神経系について概説する。また、病気については、主に疾病における外因・内因、物質代謝障害、各種循環障害、炎症、腫瘍、感染症等について概説する。

家畜とバイオテクノロジー

家畜に応用される新しい技術について、とくに家畜生産に関わる発生工学的方法に焦点をあてて紹介する。また、個々の技術の発達過程や原理、特徴及び問題点について解説する。また、発生工学的手法のもう一つの応用方法であるヒトの不妊治療との関連も含めて解説する。後半の講義では、これらの技術の倫理的な問題点などについて受講学生とも意見を交換し、「食のモラル」、「食の安全」、「生命倫理」などの課題について学生の関心を誘起する。

生物統計学

植物や動物の形態、生理、遺伝など、生物諸現象の定量的把握と要因探索に必要な、データを収集する方法、データを平均値や分散、相関係数、回帰係数、主成分などの統計量に加工する方法、加工された統計量の仮説に対する検定方法、およびサンプル集団のデータから母集団の統計量を推定する方法などに関して、汎用性の高い手法を可能な限り多く紹介するとともに、それらの基本概念の理解を徹底させながら、実際面での意義と利用上の問題点を鮮明にし、それらが誤りなく適用されるよう講述する。

フィールド実習Ⅰ

主要穀類の播種・移植・圃場管理・収穫、野菜の定植・誘引(整枝)・マルチング・圃場管理・収穫、花木・草花の繁殖・育苗・施肥・潅水・植えかえ、果樹の摘果(粒)・袋かけ・新梢管理・収穫・調整出荷・剪定等、作物の栽培管理の基本を習得させるとともに、作物栽培と人間のかかわりあいについて考察させる。畜産動物の飼養・管理技術に関しては、農家における見学と実習を通してその概要を理解させるとともに、農業経営に即した自主的農業実習を計画・実行、相互評価させ、模擬農業経営を体験させる。

フィールド実習Ⅱ

フィールド実習Ⅰを発展させた実習である。主要作物と野菜の生産管理技術を習得させつつ、作物の生産過程における水、無機養分、エネルギーの動態を理解させ、それぞれの学生に独自の栽培技術と作付を考案、実行させる。播種から収穫後のデータを基にそれら技術に対する相互評価を行い、よりよい技術の開発に向けた知識の集積を図る。また、農家における見学と実習を通して、農家による栽培技術あるいは飼養技術の異同・多様性を認識させるとともに、それら技術が使われている理由を分析させる。フィールド実習Ⅰと同様に、農業経営に即した自主的農業実習を計画、実行、相互評価させ、模擬農業経営を体験させる。

醸造系科目

醸造分析化学

醸造/発酵とは、原料となる食品に微生物を作用させ、成分を分解、種々の物質に変換することにより食の楽しさを拡げてくれる技術である。その主たるものは清酒、ビール、ワインといったアルコール発酵食品であり、その他味噌、醤油、納豆、ヨーグルト、チーズなど、その国、地域に固有の発酵食品がある。本講ではこれら食品の品質を特徴付ける分析項目、および製造における品質管理に必要な分析項目を整理し、目的、分析方法などを解説する。

醸造酵素化学

醸造/発酵過程において、たとえば日本酒製造の場合、原料となる米デンプンがオリゴ糖、ブドウ糖に分解され、さらにブドウ糖からピルビン酸を経てエチルアルコールと二酸化炭素に変換される。この各過程全てにそれぞれ特異的な酵素が作用している。酵素とは、我々が生命活動を行う上で必須のタンパク質である。本講義では酵素のタンパク質としての構造や性質、さらには生体触媒としての基質特異性、反応機構などの化学的性質について解説し、種々醸造過程における各酵素の役割について学ぶ。さらに最近目覚ましい進展がみられているバイオテクノロジー分野における酵素の利用・改変技術、実用例を紹介し、酵素が食品、化学工業、環境浄化、医療など様々な分野に応用されていることを学ぶ。

醸造機能食品学

食物は微生物が作用すると美味しさが増すことがあり、また、健康維持に好ましい物質が作られることがある。味を食品の2次機能、健康維持効果を3次機能と言うが、微生物は食品の機能性を向上させる働きを示すことがある。この働きを醸造と言う。本講義では、味覚機能や栄養機能が増す醸造法について講述する。そして、酢、みりん、納豆を例に挙げて、その醸造手法と現場での工程、および醸造管理の要点などを具体的に講述することで、醸造技術の実践と応用を理解することを目標とする。

醸造管理学

全ての醸造物は、微生物もしくは酵素などの生物由来物質の働きによって生産されている。この醸造の工程を管理するとはどういうことなのか、どのようにすれば目的とする反応を進ませることができるか、どのようにするとトラブルが発生するのか、について具体例を示しながら解説する。またGMPやHACCPに触れながら食品製造における醸造の特異性、とりわけ、昨今法制化の検討が進められているHACCPにおける醸造分野の位置づけについて考察する。

微生物学

ヒトと多様かつ密接な関わりをもつ微生物の基本的概念を理解し、肉眼では見えない微生物への認識を深める。前半では微生物学の基礎(歴史、分類と性状、生理)、病原微生物と免疫などを講述する。後半では、微生物と土壌や水圏環境の関わりに着目し、微生物の環境への適応能力や、環境浄化作用について解説する。また、食に関連した有用微生物、食中毒と有害微生物、バイオテクノロジーの基礎と応用面で微生物の果たす役割などについて、食の安全性に関する最近の話題を加えて紹介する。

醗酵微生物学

元来、醗酵とは酵母や細菌などの微生物が嫌気条件下でエネルギーを得るために有機化合物を分解して、アルコール類・有機酸類・二酸化炭素などを生成していく過程を言うが、現在では食品製造から有機化合物の工業的製造に至る幅広い微生物の利活用を意味している。本講義では、産業上重要な発酵技術に関わる微生物の種類、機能、生理などについて学び、特に発酵食品の製造における微生物の利活用を中心として基礎的かつ総合的な知識を身に付けることを目標とする。

醸造微生物学

微生物は、自然界において、植物や動物などの有機物の分解役として、地球上における生物浄化と物質循環の重要な役割を担っている。微生物には、人、動物および植物に伝染性の病気を起こすものもあれば、パン・チーズ、酒・ワイン・ビールや味噌・しょうゆ等の醸造発酵食品の製造に関わるもの等の有用微生物もある。本講では、各種醸造発酵食品の製造に関わっている資源微生物の全貌を紹介し、個々の生物学的特性と役割および資源微生物としての有用株の探索・分離法などについて解説する。

微生物毒性学

細菌や真菌などの微生物は、多種多様な天然の化合物を作り出す。微生物が生産する抗生物質や酵素は、医薬品として多くの人命を救い、また醸造や発酵食品を製造するのに古くから利用されてきた。一方で、微生物は毒素と呼ばれる有害な物質を生産し人類に危害を加えてきた。食中毒を引き起こす細菌には、極めて致死性の高い毒素を生産するものが存在し、また、作物に感染する真菌には、慢性的な健康被害をもたらすカビ毒(マイコトキシン)を生産するものが存在する。本講義では、微生物が生産する様々な毒性物質を対象として、その毒性学を概説する。特に食の安全性に着目し、作物栽培や食品加工過程における細菌毒素やカビ毒の汚染リスクやその対処法を解説する。

環境汚染物質分析学

環境汚染物質と呼ばれるものとして様々な化学物質を挙げることができる。その中でも、環境の中での残留性が高く、生物濃縮を受けてヒトを含む生物に対する毒性が高いダイオキシン類などの残留性有機汚染物質について、化学的特性や生物に及ぼす影響について、分子レベルで解説を行う。また、特にダイオキシン類の体内受容体であるアリール炭化水素受容体を介したシグナル伝達と、食品成分との関わりについては詳細に講述する。

日本酒学

日本酒は、世界でも抜きん出てアルコール濃度の高い醸造酒であるだけでなく、味わいの奥深さ、生理機能の多様さは秀でた特徴と言える。近年世界的にも評価の高まっている日本酒について、製造技術や食における位置づけの歴史的遷移を概観し、日本酒の将来展望について考察していく。また、日本酒に代表される、地域に根差した伝統的な産業には、これまで地域を支えてきた「何か」、地域の抱える様々な問題を解決へと導いてきた「何か」が存在する。地域創成のキーワードともなりうるこの「何か」を学生とともに考察していく。

ワイン学

ワインは農産物である。どんなに立派な醸造設備をそろえても、どんなに発酵管理に手を加えても、原料となるブドウの出来が悪ければ上等のワインにはならない。故にワイナリーは常にブドウ畑に関心を寄せ、より良いブドウ栽培に腐心してきた。これがテロワールである。テロワールは教科書だけでは学べない。実際にワイナリーを訪れ、ブドウ栽培からワインの仕込み、発酵管理、製成までの実習をとおして日本のテロワールの在り方を考えさせる。

乳酸菌醸造学

乳酸菌はヨーグルト、チーズなどの乳製品や漬物、なれ鮨などの発酵食品に用いられており、生成する乳酸により食品に酸味を与え、pHを下げることで腐敗を抑える役割を担っている。また日本酒製造時には清酒酵母の生育環境を整える重要な役割を果たしていることが分かっている。一方で、発酵中に乳酸菌による雑菌汚染が問題となることがある。これら乳酸菌の種類と生理、発酵過程における役割について解説するとともに、その制御方法などについても学ぶ。また乳酸菌は我々の腸内フローラ(細菌叢)を形成する重要な細菌群でもあり、そのプレオバイティクス(善玉菌)としての機能応用、さらには乳酸菌製剤による腸炎治療への試みが行われている。腸内における栄養分の分解、資化も発酵過程のひとつととらえ、乳酸菌の生体内における役割、産業利用について理解を深める。

醸造学実習

調味料は、世界のそれぞれの地域で様々な発展を遂げてきた。そのため、調味料は、その国の食を形作る基礎的な因子となっている。例えば、古来より日本に伝わる“醤(ひしお)”は、味わい、製法ともに非常に幅広く、その流れは現在の味噌、醤油に繋がっており、日本の食に大きな影響を与えてきた。本実習では、醤(魚醤、味噌、醤油)の小仕込みを通して、この歴史を追体験し、日本の食の歴史的な広がりを体験的に学ぶとともに世界の食における日本の醸造技術の位置づけを考察する。

栄養化学

食生活と疾患との関係、特に、生活習慣病との関係について講述する。そして、糖質・脂質・タンパク質の消化吸収の機構を説明し、これらが体内に取り込まれたときに、異化を受けてエネルギー源となり、細胞膜を構成し、酵素タンパク質を合成することで生命を維持する機序について詳述する。さらに、これらをまとめて、食べ物の様々な成分がからだに情報を与え、からだはそれに応えることで生命を維持している機序を生化学的に説明する。

食品機能分析化学

水溶性ビタミン9種類、脂溶性ビタミン4種類、およびミネラルの働きと欠乏症を講述し、含まれる食品とその摂取必要量を説明する。そして、食品には他にも食物繊維、フェニィルプロパノイド、フラボノイド、カロテノイド、キサントフィル、システイン誘導体、テルペノイド、アルカロイドなどが微量に含まれており、それらのあるものは体内吸収されて健康維持に好ましい機能性を発揮する、あるいは消化管上皮細胞の受容体に作用して体内に情報を伝達することで、体の機能を調節する。そして、これらの機能が生活習慣病を予防することがあることを、例をあげて論述する。

機能性食品学

食品の摂取は生命維持活動のために必須である。食品は種々の成分の混合物であるため心身への影響は多岐にわたるが、これを理解することは食品を利用する上で重要な課題である。本講義では、食品が有する栄養学的な三次機能に着目する。三次機能とは生体が本来有する健康を維持する力に対して働きうる機能であり、うまく利用することで健康寿命の伸展にも役立つ可能性を秘めている。このような食品の機能性を理解する能力をつけ、新たな食品開発において付加価値を与えられる力を身につけることを目指す。

食品化学

食品は、非常に身近なものでありながら、その形態および成分組成は多種多様である。本講義では、食品とは何かを理解するために、食品中に含まれている主要成分のそれぞれの科学的な特徴を理解し、食品成分に関する基礎知識を習得する。食品の主要成分(水/タンパク質/糖質/脂質)および微量成分(ビタミン/ミネラル)について、その科学的特徴を解説するとともに、食品主要成分の化学変化・相互作用(タンパク質の変性/デンプンの糊化/油脂の酸化/褐変)についても概説する。科学的な根拠にのっとり、栄養学的・生理学的な見地からも食生活を考えていくことができるようになるための礎を築く。

食品生化学

私たちが毎日の生活の中で摂取している食事の中には様々な成分が含まれている。本講義では、なぜ、糖質や脂質、たんぱく質などの栄養素を摂取する必要があるのかについて、生化学的視点から解説する。また近年の研究で、食事は「何を」「どれぐらい」食べるのかに加えて、食べる「時間」も重要な鍵であることが明らかになってきた。そこで、私たちの身体の中で刻まれている様々な生命現象のリズムを解説することを通じて、食べる時間と生体応答についても講述する。

醸造食品素材学

醸造食品素材学では食品素材の分類を学び、個々の食品素材についての特徴を理解する。特に酒類・味噌類の原料となる米、小麦、大麦といった穀類、大豆を含む豆類や、果実酒の原料となるブドウ、梅、アンズ、りんごなどの果物に重点をおいた内容としたい。食材に興味を持ち、日常から食材を眺めるようになって、そこに含まれている成分の特徴が醸造食品を作りだすことにつながることを習得する。また、食品学、食品機能学で学ぶ内容の礎となるように、幅広い知識の習得を目指す。

酵素工学

生体内の生物反応は化学反応である。それらはすべて酵素と呼ばれる生体触媒により制御されており、生物や生物機能を正しく理解し、様々な産業に応用するためには酵素の働きと特性を正しく理解していなければならない。また、酵素はタンパク質であり、酵素の持つ立体構造の違いに酵素の特異性の原点がある。本講義では酵素のタンパク質としての性質について述べ、酵素および酵素反応の特異性について概説を行う。また、酵素反応がどのように起こるのか、反応機構と酵素反応速度論についても説明する。さらに生体触媒の工学的利用の方法についても詳しく解説を行う。

食品遺伝子工学

現在、遺伝子組換え技術の発達により、農作物の成分を改変することが可能になってきている。本講義では、食品の品質に関わる農作物の成分について、構造、生合成、輸送機構などを含めて説明するとともに、それらの知見に基づいて作製されている遺伝子組換え作物について解説していく。また、近年、ゲノム編集等の新たな遺伝子改変技術を用いて作製されようとしている食品成分を改変した農作物の開発の現状についても紹介していく。

食品加工化学

本講義では、食品を構成している成分が、糖質、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維、その他の機能性非栄養素などであることについて説明し、それぞれの成分は、光、酸素、熱などによって、酸化や褐変などの劣化を起こすことについ解説する。そして、その劣化を防ぐための方法として、水分活性を調節する、pHを調節する、加熱温度を考える、光を遮蔽するなどについて化学的に説明する。さらに、微生物による腐敗を抑える方法をや微生物を利用した発酵という食品加工法を教授し、それを実際の食品加工に応用して理解を深めていく。

食品保蔵学

収穫後の青果物はエネルギーを生産・消費しながら生きている。そのため、自身に蓄えられた成分は消費され、個体は成熟や老化過程を経て生命を終える。人間はその間、流通・貯蔵といった行為を通して青果物を利用している。本講義では、収穫後の青果物の諸問題をその代謝生理を中心として論述する。すなわち、実際に青果物が流通・貯蔵する場面を詳しく調べ、収穫後の取り扱いが青果物によって実に多様性が有ることを実感する。また、品質保持に関して生育中の因子や収穫時期によっても大きく左右されることも見ていく。次いで、収穫後の野菜・果実は生命活動を行っているので各青果物によりそれぞれ特徴をもって休眠、成熟、老化する。これらの現象を生理学的に見ていく。

食品管理化学

食品の安全性確保のためのいくつかの法規がある。国内の食品加工と流通・販売に関しては食品衛生法が、農畜水産物の生産と流通に関しては日本農林規格(JAS)がある。また、食品の生産加工法の基準としてHazard Analysis and Critical Control Point (HACCP)があり、食品の流通基準について世界共通に定めたCodex Alimentarius(CODEX)がある。本講義では食品の安全性を守るためのこれらの規則・規準を、過去の事故例や法が定められた経緯などを説明しつつ、実例を挙げてわかりやすく講述する。

食品衛生学

2001年、わが国で初めてBSEが発生して以来、口蹄疫、鳥インフルエンザ、食品偽装事件などが多発したことから、食品衛生行政や食品関連法規が改正された。しかし、食品中の放射性物質、O157による大規模な食中毒事件,賞味期限切れ食品の違法販売など問題が後を絶たない。本講義では、このような食品事故の歴史や食品の安全性確保はどのようになされているのか紹介する。さらに、各種食中毒の原因と予防法、食品添加物、食品汚染物質について、最新の科学的知見に基づき詳細に解説する。

農産物加工学

本講義は、食料・加工原材料となる資源農産物の植物学的特性、栽培、生産、流通、および加工について講述する。特に、1)嗜好料植物である茶における品種・栽培法と成分の関係、緑茶・烏龍茶・紅茶の味と成分ならびに製造・加工法、2)油料作物の種子や果実に貯蔵される多種多様な植物油脂の化学的特性と食用および非食用油としての加工・利用法、3)糖料作物の製糖加工法や副産物の利用などを中心として農産物の加工利用について解説する。

食肉加工学

食肉・肉製品は、家畜の生産物である筋肉を資源とする主要な動物性食品である。本講義では、わが国における食肉・肉製品の生産と消費の現状、筋肉の構造と化学成分、および筋肉から食肉への変換の仕組み、ならびに食肉の品質要因について講述し、肉製品の製造法とその理論についても解説する。さらに、食肉・肉製品を摂取するときの栄養や安全面などについて言及する。このことによって、家畜・家禽の筋肉が死後の貯蔵期間に起こる種々の変化を経て食肉に変換されることを理解する。また、食肉の品質に影響する諸要因を知るとともに、それらの食肉の特性に応じて製造される肉製品に関する知識を習得することを目標とする。

乳製品加工学

主要な動物性食品である乳・乳製品は、乳成分の理化学的な知見を応用して製造されている。本講義では、わが国における乳・乳製品の生産と消費についての現状を解説し、原料乳が生産され食品として利用されるまでの基本的処理とともに、乳を構成する化学成分について講述する。また、乳成分の特性に応じて製造される種々の乳製品の製造法と製造理論について解説する。さらに、乳・乳製品を摂取するときの栄養や安全面などについて言及する。

水産物加工学

南あわじ地区は古くから水産業が盛んであり、淡路島の東、南、西にそれぞれ特徴的な漁場を有し、様々な漁獲を行っている。さらに、イカナゴやちりめん、タコ、ウニ等を使った水産物の加工にも力を入れており、恵まれた水産資源を背景とした水産基地としての存在感も高い。このような背景から南あわじ地区には変化に富んだ加工技術の蓄積を見ることができる。本講義では、持続可能な水産業とそれを支える加工技術の現状について解説・考察する。

味と食感の科学

食は我々が日常生活を営む上においては欠くべからざるものである。その食の機能として、タンパク質、糖質、脂質の3大栄養素とビタミン、微量金属からなる「栄養機能/第一次機能」、食べる際の香り、味、食感などおいしさに関わる「嗜好、食感機能/第二次機能」、さらには健康回復、健康維持を目的とした「生理機能/第三次機能」に分類される。この第二次機能、すなわち食品の「おいしさ」には、食品の色、形といった見た目の美しさと、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味の5基本味、香り、そして歯ごたえなどの食品物性が重要なパラメーターとなる。本講義ではこれら「おいしさ」に関わる味、香りの受容機構を分子レベルで解説するとともに官能試験の数値化、および食品物性の分析値と食感との相関について学ぶ。さらには進展著しい味覚・嗅覚センサーの仕組み、応用例についても紹介する。

専門応用科目

食品安全の経済学

「食品安全と経済とのかかわりについて広く学ぶ」ことをテーマとして、食品安全の経済学的分析にとどまらず、農場から食卓までの食品安全マネジメントの考え方や、「安全」と「安心」の違いなど、幅広い社会科学的側面から食品安全について考えることができるようになることを到達目標とする。また、本講義においては、食品安全について主としてミクロ経済学的な分析枠組みを用いて考察することを講義の第一の柱とし、食品中のハザードとは何かといった基礎的なことから食品リスクという概念とその社会的なマネジメントのあり方についての知識を学ぶことを講義の第二の柱とする。

食農マーケティング論

食農マーケティングとは、狭義には生産者、食品製造業者、フード・サービス事業者、流通事業者等それぞれのマーケティング(販売促進)活動を意味するが、広義にはそれらの連鎖によって形成される流通システムを意味する。本講義では、広義と狭義の両面から、食農マーケティングに関する基礎的な理論を講述するとともに、今日の食農マーケティングの現状と問題点、今後の課題について講述する。以上の内容を通じて、地域創生のための食農マーケティングについて理解を深めるとともに、そのあり方を考察し、実践できる力を養うことを目的とする。

日本の食文化

食文化を知るためには、まずその背景を知ることが肝要である。自然・風土・歴史・文化など、我が国固有の郷土性を重視して、その歴史的な変遷を探ることにより現代の生活様式が見えてくる。さらに「和食、日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形世界文化遺産に登録され、日本食文化に対する世界の関心はこれまでにない高まりを見せている。日本食文化を通じて、古来より日本人が大切にしてきた、大和心「和敬静寂」の精神を一人でも多くの受講生が理解し、グローバルな人材育成の一助となることが本講義の目的である。

日本の食文化実習

自国の食文化をさらに深く知るための実践的トレーニングとして、人間の五感を活用した実習を行う。眼・耳・鼻・舌・心の五感を感化することを目的に、食文化の背景にあるもの、神道(神饌)、仏道(精進)、茶道(懐石)、武士道(本膳)などの料理文化を鑑みながら、現代に残る町衆の食文化(会席料理)とその時代に生まれた食文化を比較して、その時代の社会性も交えた体験型の授業を行い、日本の食文化に対する認識を深める。さらに、そのすばらしさを世界に発信したり、その振興と発展に寄与していく心を養う。

インターンシップ

就職した大学生の30%が3年以内に会社を辞めるという事実がある。大学在学中に社会、民間企業とのコラボレーションをとりながら企業等との接点を持ち、実社会への興味を喚起させることを主たる目的としてインターンシップを行う。授業は、基礎知識やマナーを習得するための講義と、実際に企業等に出向いて行う実習で構成する。「実社会を経験し、有意義な大学生活を送る」をテーマとして、企業等における実習を通して、社会人としての基礎知識を身につけるとともに、自分の進路について思索し、その後の大学生活を有意義に送るためにはどうすればよいか、自分で考え、自分で行動できる能力を身につけることを到達目標とする。

食農コープ実習

教室で学んだ学習を踏まえ、それに関係する食と農の現場(企業や行政機関、農家や農村のグループ、食品製造業や食品流通産業等)において一定期間、複数回の就業体験を行い、変化する食や農の現場の状況を的確にとらえ、生産者・生活者が直面する問題を発見し、習得した専門知識と結び付けて、食や農に関する問題の解決に取組む体験学習を行う。就業体験を通して、技術や専門知識を深めるとともに、将来のキャリアを考える機会とする。

醸造学演習Ⅰ

3年次から始まる醸造学演習は、1・2年次に醸造、食品化学分野の基礎的な知識や技術を学んできた学生が、4年次の卒業研究と連動して学生自身の研究目的に沿ったゼミを選択し卒業論文としてまとめていくための科目である。そのため、醸造学演習Ⅰでは、卒業研究に必要な学術論文および研究手法を身につけることを目的とする。そこで、まず各自の研究テーマ設定を視野に入れた各専門領域における一般テキスト等を精読し、学術論文を読みこなすための予備知識を身につける。また、関連する学術論文の講読を通じて学生自身の関心の所在を特定していく。また、学術論文を理解する能力を養うために専門分野の学術論文の輪読・相互ディスカッションを通じて論文を理解しその内容を相手にわかりやすく説明できるようにする。

醸造学演習Ⅱ

醸造学演習Ⅰに引き続き、関心のある分野に関係する学術論文を更に読みこなしていき、レポート等に取りまとめて、演習において口頭発表を行い質疑応答を通じて専門知識の深化を図る。また、卒業研究に必要な研究手法を再確認しスムーズに卒業研究を行うことができるよう準備しておく。この過程の中で、特定領域についての専門的文献を収集し、内容を学術的に把握・考察できるようになることを目標とし、学期の最後には、4年次の卒業研究のテーマを設定する。

醸造学演習Ⅲ

研究テーマの対象となる問題の背景・現状の考察、資料・文献の収集とその解読、事例の検討、関連論文の精読、中間レポートの作成と発表、グループ討議など、卒業研究と連動させて卒業論文完成に向けて本格的に進めていく。「卒業研究の推進」をテーマとして、研究を遂行するとともに、卒業論文を書き上げるだけの基礎能力を身につけるために、これまでの醸造学演習ⅠおよびⅡで培ってきた学術論文理解力・発表力の向上および正確なデータを得るための研究手法を繰り返し行っていく。

醸造学演習Ⅳ

醸造学演習Ⅳでは、これまで培ってきた知識および経験、醸造学演習Ⅰ~Ⅲで積み上げてきた学習成果を活かし、卒業論文としてまとめていく。受講生はゼミ担当教員による添削指導を受けながら、中間報告としてまとめ、複数回にわたって発表する。そして、それぞれの卒論研究の中間報告に対して、受講生全員がディスカッションを行うというゼミナール方式で授業を進めていく。他の受講生の発表や質疑内容等も参考としながら、受講生各自が自分自身で考え、推敲し、それぞれの卒業論文としてまとめ上げていくことを到達目標とする。

卒業研究

醸造学演習Ⅲ~Ⅳと連動させながら、教員の指導の下、学生各自の卒業論文のテーマに沿った研究を進めていく。そして、テーマに関連の深いレビュー研究、外部データの収集・解析、実験データの収集・解析を繰り返し行い、報告書として体系的にまとめていく。中間報告は、醸造学演習Ⅳで発表し、受講生全員によるディスカッションや指導教員からのアドバイスを受けながら充実させていく。ここでも自分自身で考え、研究を遂行することをテーマとして、卒業論文をまとめ上げることを到達目標とする。

3つのポリシー


履修モデル

醸造に重点を置いた履修モデル

想定される就職先
醸造会社、食料品製造・加工会社、薬品会社、国及び地方公務員等
1年次
科目区分 前期 後期
教養科目 総合A群 吉備国際大の学び ○吉備国際大から世界へ  
キャリア教育 ○キャリア開発Ⅰ
情報教育 情報処理Ⅰ
言語教育科目 外国語 英語Ⅰ 英語Ⅱ
総合B群 一般教養科目 人間性の涵養 文章表現入門
自然と数理 生物学 化学
総合C群 地域連携講座 〇南あわじ農業学
専門教育科目 専門基礎科目 ○醸造学概論 ○基礎演習Ⅱ
○基礎演習Ⅰ ゲノム情報学
遺伝学
○食の安全学
農業系科目 〇フィールド実習Ⅰ ○フィールド実習Ⅱ
栽培学

合計34単位

〇印は必修

2年次
科目区分 前期 後期
教養科目 総合A群 キャリア教育 キャリア開発Ⅱ
言語教育科目 外国語 英語Ⅲ 英語Ⅳ
専門教育科目 専門基礎科目 ○基礎演習Ⅲ ○基礎演習Ⅳ
分子生物学 有機化学
生物化学 生物学実験
〇化学実験
農業系科目 〇植物育種学概論 野菜園芸学
〇植物病理学
醸造系科目 醸造機能食品学 〇栄養化学
微生物学 食品加工化学
醸造微生物学 乳製品加工学
醸造食品素材学
農産物加工学

合計40単位

〇印は必修

3年次
科目区分 前期 後期
専門教育科目 醸造系科目 醸造酵素化学 〇醸造分析化学
〇醸造管理学 醗酵微生物学
微生物毒性学 日本酒学
乳酸菌醸造学 ワイン学
〇醸造学実習 機能性商品学
〇食品機能分析化学 酵素工学
食品管理化学
味と食感の科学
専門応用科目 〇醸造学演習Ⅰ 〇醸造学演習Ⅱ
インターンシップ 日本の食文化
日本の食文化実習

合計36単位

〇印は必修

4年次
科目区分 前期 後期
専門応用科目 〇醸造学演習Ⅲ 〇醸造学演習Ⅳ
〇卒業研究(通年)

合計14単位

〇印は必修

【卒業要件】
教養科目(総合A群、B群、C群)については、総合A群から必修科目4単位を含み16単位以上、総合B群及びC群から必修科目2単位を含み8単位以上、計24単位以上を修得すること。また、この内、言語教育科目8単位以上(留学生は日本語科目8単位を含み16単位以上)を修得するものとする。専門教育科目については、必修科目40単位を含み計100単位以上を修得すること。また、教養科目と専門教育科目を合わせて合計124単位以上を修得すること。(履修科目の登録の上限:49単位(年間))

食品化学・加工に重点を置いた履修モデル

想定される就職先
食料品製造・加工会社、食料品販売(卸・小売)会社、外食産業等
1年次
科目区分 前期 後期
教養科目 総合A群 吉備国際大の学び ○吉備国際大から世界へ
キャリア教育 ○キャリア開発Ⅰ
情報教育 情報処理Ⅰ
言語教育科目 外国語 中国語Ⅰ 中国語Ⅱ
総合B群 一般教養科目 人間性の涵養 生涯スポーツ論
自然と数理 環境科学 化学
総合C群 地域連携講座 〇南あわじ農業学
専門教育科目 専門基礎科目 ○醸造学概論 ○基礎演習Ⅱ
○基礎演習Ⅰ 現代農業論
生物の進化と多様性
○食の安全学
農業系科目 〇フィールド実習Ⅰ ○フィールド実習Ⅱ
栽培学

合計34単位

〇印は必修

2年次
科目区分 前期 後期
教養科目 総合A群 キャリア教育 キャリア開発Ⅱ
言語教育科目 外国語 中国語Ⅲ 中国語Ⅳ
専門教育科目 専門基礎科目 ○基礎演習Ⅲ ○基礎演習Ⅳ
分子生物学 有機化学
生物化学 生物学実験
〇化学実験
農業系科目 〇植物育種学概論 野菜園芸学
〇植物病理学
醸造系科目 醸造機能食品学 〇栄養化学
食品化学 食品加工化学
醸造食品素材学 食品衛生学
農産物加工学 乳製品加工学
水産物加工学

合計42単位

〇印は必修

3年次
科目区分 前期 後期
専門教育科目 農業系科目 家畜の構造と病気
醸造系科目 〇醸造管理学 〇醸造分析化学
〇醸造学実習 機能性食品学
食品機能分析化学 酵素工学
食品生化学 食品保蔵学
食品遺伝子工学
食品管理化学
食肉加工学
味と食感の科学
専門応用科目 〇醸造学演習Ⅰ 〇醸造学演習Ⅱ
インターンシップ 日本の食文化
日本の食文化実習

合計34単位

〇印は必修

4年次
科目区分 前期 後期
専門応用科目 〇醸造学演習Ⅲ 〇醸造学演習Ⅳ
〇卒業研究(通年)

合計14単位

〇印は必修

【卒業要件】
教養科目(総合A群、B群、C群)については、総合A群から必修科目4単位を含み16単位以上、総合B群及びC群から必修科目2単位を含み8単位以上、計24単位以上を修得すること。また、この内、言語教育科目8単位以上(留学生は日本語科目8単位を含み16単位以上)を修得するものとする。専門教育科目については、必修科目40単位を含み計100単位以上を修得すること。また、教養科目と専門教育科目を合わせて合計124単位以上を修得すること。(履修科目の登録の上限:49単位(年間))

失敗は何度あってもいい。そのぶん、うま味はどんどんふえていく

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